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□C
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また、出逢える――…

俺が息絶える瞬間、彼女が最期に告げたその言葉が頭に過った。

次に生まれ変わった時は、争いなんてない平和な時代であればいい。
そして、なによりも…
千鶴が、平和に暮らせるならそれで良い。


だけど、神様は意地悪だ。
どうして彼女ばかりを苦しめる?




















「平助、お前顔色悪くねーか?」


そう訪ねてきたのは、新選組十番隊組長の原田だった。


「最近、寝不足なんだよ…」

「そんなに忙しかったか?」


そう平助に尋ねた原田は、ここ数日の出来事を思い出す。
確かに、変若水のことでバタバタしていたのは事実ではあったのだが、平助の顔色が悪くなる程の忙しさであっただろうか?


「そうじゃなくて…
 なんか最近夢ばっかり見て、どうも寝た気がしなくてさぁ…」

「夢?どんな夢なんだ?」

「それが、朝起きると全然覚えてねーんだ。」

「なんだ、それ…」

「だよなぁ…。
 夢を見てるのは間違いねーんだけどさ。」


そう平助が言えば、原田も「あんまり無理するなよ。」と一言声を掛けた。




























平助――…



あっ、まただ。
また、誰かが俺を呼んでいる。



平助――…



なぁ、お前は一体誰なんだ?
そう思って、俺は声の主の顔を見ようとした。

だけど、まるで霧でもかかっているみたいに顔は見えなかった。




また、出逢えるよね――…
きっと、今度は…



そう言うと、声の主は消えていった。
それと同時に、俺の目は覚めた。




「……夢、か…」



また、夢を見た。
だけどいつもと違って、今日の夢の内容はしっかりと覚えている。



「また出逢えるってどういうことだ?」



声は、女の声だった。
そして、どこか聞き覚えのある様な声で…
どこか愛しく感じる声だった。

もしかすると…
声の主と何処かで会ったことあるのだろうか?

平助は必死に過去の出逢った女性の事を思い出そうとした、その時だ。









バンッ――…!!!









平助の部屋の襖が勢いよく開けられ、其処には見覚えのある人物が立っていた。



「土方さん?」

「悪いな、平助。羅刹が2人逃げた。」

「なっ!!」

「今手分けして探しているんだが、平助お前もすぐ追いかけてくれ。」



平助はその言葉を聞き、すぐに了承の返事を送り逃げた羅刹を追った。

その後、羅刹が処分されたという報告を受けるまで俺は夢のことを忘れ街中を捜索していた。屯所に戻ると、そのまま近藤さんの部屋に集まる様に指示され足を運んだ。

なんでも…
羅刹を目撃した人間がいたとのことらしい。

正直、そんな人間どうなろうが俺には関係ない。口封じに殺すなら、殺してしまっても良いなんて、最初は思っていたのに…

その人間が部屋に連れてこられた瞬間…

俺は固まった。
そして、ずっとかかっていた霧が一瞬にして晴れた。
















「……千鶴…」



どうして、俺は今まで忘れていたのだろうか?
あんなにも大切にしていた彼女のことを…



to be continued...

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