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□D
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『平助!!今日の夜、空いてる?』

『……空いてるけど、どうしたんだよ?』

『今日ね、すごく星が綺麗に見れるの。
 だから一緒に見に行こうよ。』

『……許可貰ってるんだろうな?』

『じゃあ、此処で待ち合わせだからね!!』

『お、おい!!千鶴!!』


強引に俺と約束を取り付けた千鶴は、やっぱり許可も取らずに黙って部屋から出てきた。
次の日には、千鶴が抜け出したことがバレて、俺もこってり叱られてしまったけど、あの夜に見た星空は本当に綺麗だった。

千鶴はこっそり「また見に行こうね。」って言ってきたけど、千鶴と一緒に星空を見たのはそれが最後だった。






















そして、今…
俺は一人星空を見上げている。


「……あの時みたいだ。」


中々寝付けなくて、ふと外に出た。
すると夜空には、あの時千鶴と一緒に見た時と同じように輝く満天の星空が広がっていた。

懐かしい――

そんな気持ちが平助の中に広がった。

千鶴と星を見た数日後に、国は滅びた。
俺なんかを庇ったせいで千鶴は死んで、俺一人生き残ってしまった。

もっと、もっと俺が強ければ…
あいつはあの時、死ななかったんじゃないか?
記憶が戻ってからずっと、そんな後悔ばかりだ。

しばらく空を見ながら物思いに耽っていると、後ろから「平助くん」と自分を呼ぶ声が聞こえた。









「眠れないの?」









そう優しく声を掛けてくれたのは、俺の頭の中をずっと占めていた千鶴だった。
千鶴はお茶の入った湯呑を俺の横に置くと、そっと隣に座った。


「……ありがとな。」


一言礼を言うと、そのままお茶に口付けた。
口の中に広がる暖かさが丁度良い。



「今日、すごく星が綺麗に見えるんだね。」

「そうみたいだな。
 俺も外に出るまで気が付かなかった。」

「こんなに綺麗な星空、初めて見たかも。」

「………あぁ…そうだな。」




千鶴には、前世の記憶は無かった。

初めて屯所で会った時の千鶴の反応を見て、すぐに気が付いた。

「藤堂さん」と呼ばれることに違和感を感じて、名前で呼ぶように言った。
それでも「平助くん」と呼ぶ彼女に、若干の違和感を感じたものの、千鶴は何一つ変わっていない。

強引なところは緩和されているけれど、誰に対しても優しくて、いつも自分のことより周りのことを心配して…

そんな彼女だから、俺はまた傍に居て守ってやると、自分自身に誓った。
































「お久しぶりね。藤堂さん。」


だけど、その誓いは長く続かないみたいだ。


「こうして会うのは…何年振り、いえ…
 何百年振りと言うべきかしら?」

「……伊東さん?」

「ねぇ、貴方は覚えてる?
 私を、殺したあの日のことを…」



to be continued...

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