男と狂気、猟奇と息子
□第4話 共存
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俺が弘樹を預かって、2、3日が経った。
相変わらず弘樹は俺の心を壊すために性行為を仕掛けてくるが、悪い気はしなかった。
まだ、本格的なセックスはしていないのだけど。
「じゃ、行こっか。父さん」
「あぁ」
ある朝。俺は弘樹と揃って家を出る。時間帯の都合上、俺と弘樹は家を出て駅に向かう時間が全く一緒だった。
だからこうして、俺と弘樹が並んで歩き、駅に向かうというのが当たり前の光景になっていた。
「そうだ、父さん」
駅に向かっている間に、弘樹が口を開く。
「何だ?」
「ちょっと自分の家に色々荷物置きっぱなしでさ。荷物取ってから家に行くから、少し帰り遅くなるかも」
「あぁ、分かった。夕飯はどうする?」
「食べたい! 父さんの手料理、好き!」
「はいはい」
力説する弘樹に苦笑し、俺は歩を進めていく。
そういえば、弘樹を預かった日以降、一度も由利子から連絡が来ていない。
由利子からの連絡を受けた後弘樹を返すことにしていた筈だから、ある程度落ち着くまで連絡はしないつもりなのかもしれないが。
けれど、こんな風に弘樹と過ごす時間は、何をしている時よりも楽しく、いとおしく感じられた。
このまま弘樹との生活が、ずっと続いていけばいいのに。
そんな事すら……考えていた。