歯車T

□7
2ページ/2ページ

一度射してしまった曇りははれなかったけど、知った風にめちゃくちゃ言う私を怒ってもいいはずなのに、この人は私の心配をしてくれる。これだけでも、尊敬できないはずがないし、幸せを願う理由になるのにな。





...だめだ。
話題を変えよう。
それに望んでくれてるんだ。
敬語とか頑張ってやめよう。





「そーいえばロイさ...ロイ、今何歳なの?」

「23になるな。」

たった敬語をやめて、さん取るだけで、それだけのことなのに、嬉しそうに答えてくれる。
いろんなものを抱えて、重すぎて大変なはずなのに、ときどき見せてくれる笑顔に、優しそうな表情に、物珍しそうに探究心に満ちた顔に、頼もしい目に、色んな表情をするなと思った。もっと色んな表情をさせてあげたい。できるなら、ずっと笑わせてあげたい。ずいぶん年と不相応に大人びてしまった彼を...

そっか、イシュバール戦が終わるのは6年前のことになるんだ...
たしか本編始まるころには29だ三十路だってやり取りがあった気がする。




あれ?


ちょっと待って


......





「え、23?」

「あぁ。ひとみは?私より若そうに見えるが。」




「え、23??」

「.....見えないかね?」





「いや、そーゆーわけじゃなくてね、私のとてもよく知ってるロイさんの話が」

「ロイさん?」

「いや、ロイの話は、確か29〜30の頃の話なのよ。」

「...」

「あの、それで、ロイ=29歳ってイメージがあって、私より年上ってイメージがこびりついてたから」

「つまり今の私はひとみより年下だと。」

「うん、それで少しびっくりしちゃった。私は27〜。」



「え”」

「見えない?」

「見えないな。私より若いかと。」

「...正直だね。」

なんだか笑えてきちゃった。
二人揃って笑いだす。なんだこれ。




「ロイ、私にできることあったら何でも手伝うから、一人でしょい込み過ぎないでね。」

「私を見えるのがひとみでよかったよ。」

嬉しいこといってくれるなこの人は。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ