歯車T
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望んではいけない。
ひとみには将来を誓い合う約束をした相手がこの世界にいる。
私は私の世界に帰らなければならない。
ずっと、伴に人生を歩んでいくのは不可能なんだ。
ここが私の世界なら遠慮せず奪うこともできたかもしれないが、私たちは住む世界が違う。
私は帰っても
ひとみを連れていくことはできない。
さっきひとみが私に何をすべきか気付かせてくれたばかりじゃないか。
私には守らねばならぬものがいる。
私にはしなければならないことがある。
ひとみも守りたい人の一人だが
この人を守るのは和真とやらの役目だ。
私がでしゃばることではない。
私には私のすべきことがある。
このようなことを考えている暇はない。
ひとみが幸せに笑っていてくれるならそれでいい。
ただ...
ただ
私が帰れるまで、和真とやらがいない間だけでも守りたいと、守ろうとすることは赦してほしい。