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...




やってしまった...

私は一体何様なんだろう。

私ってこんなに押しつけがましい人だったんだ。

偉そうに長々と...

会って間もないあの人の何をわかるっていうのか。



きっと酷いこといった。



甘えたくなくて甘えてないんじゃなく
甘えたくても甘えられないんだろうって
そう感じるのに。

ロイが甘えたくても甘えらえないっていうんなら
自然と甘えが出てしまえるような人に私がなったらいいだけの話で

ロイのことを知ったかぶって話すだけじゃなく
帰ってからの話とか好きな人の話とか...


焦がれてやまない相手がいるって言ってた。
きっと、その人になら自分をもっと出せるんだろう。

リザさんのことだろーな...

今どれだけ、会いたくても会いたくても会えない人...



きっと傷つけた。



『...いるよ。盲目になれる人。』

そう教えてくれたロイの表情はいつも通りをつくろってたけど、
ロイの目は、今にも泣き出しそうだった。

あんなに想ってるんだ。
心配で、会いたくてしょうがないはずなのに。
無事かどうかの情報さえ得ることのできない状況で、気が気じゃないはずなのに。




カチャ

ガチャ

「ただいまー。」




少し考えればわかることなのに

私はなんて浅はかなんだろう。

あんな顔させてしまった。




「ただいまー?帰ったで?」




それに、聞きたくて聞いたことなのに
ロイの気持ちを聞いて胸が疼くのはなんで?

意味がわからない。
自分がわからない。

なんて利己的で頭の悪い生き物なのか。
自分のことしか見えてない。

やっぱり私は私が嫌いだ。




「ひとみ?まだおこっとんの?」

「ぅおぁ!びっくりした―。
驚かさんでよ。一瞬心臓止まったし。」

「さっきから何回も声かけてたのに無視してたんそっちやん。もっとかわいらしー叫べよ、どこの親父が家におるんかと思うやんけ。」

「そんな親父好きになった人どこのどいつよ。」

「俺やな。」

「...帰ってきたの全然気付かなかった。」

「ほんまかいな。まだ怒っとんとちゃうん。」

「電話のこと?怒ってないって。ちょっとショックだったけど。考え事してたーごめんね。」


また自分の世界に入り込んでたみたい。
和真が帰ってきたのに気付かないなんて自分でもびっくりだ。
最近ちょっと鬱に入りやすいなー。
もうすぐ生理くるのかな。


「ほら、土産。」

「あ!この袋!!買ってきてくれたの??」

「なんや甘いもん食べた―なってな。俺のん買うついでやし、買ってきてん。から揚げの後に食べよーや。」

「ありがとー嬉しい!じゃあ冷蔵庫入れとくね。」


だめだなーと思ってたら、和真がお土産を買ってきたって、可愛らしい袋渡してくれた。

ここのシュークリームすっごい好きやの。
だけど、これ売ってる店って遠いし、前に和真とその店の前通った時好きだから入って買おうっていったら、あんなとこは入れるかーって怒られたから、我慢かなーて思ってた。

まさか怒らせたって気にして買ってきてくれた?
あんなキャピキャピした入りたくないって豪語してたとこに入って?
今の時間なら女の客さん尚更多かっただろうに...
なんだか気分が上昇してくる。
ほんと私って現金な奴だ。

受け取った袋を冷蔵庫になおしてダイニングに戻ると、
和真の視線はテーブルの上。

そんなにから揚げ食べたいのか。まあお腹もへってるよねと思って私もテーブルを見ると、いやー驚いた。
考え事しながらごはん並べてたからか、ちょっと多めに盛り付けてる和真のお皿が私のとこ置いてたり、私のごはんが和真のとこ行ってたり、むちゃくちゃだった。


「和真いつの間に帰ってきたの?」

「30分くらい前。」

「それは嘘でしょ?」

「ようわかっとるやん。つい今しがたや。何考えとったん?」

「んー?なんか色々。あしたの献立とか?あ、何食べたいとかある?」

「キムチ!!」

「だけでいいの?」

「それはあかんやろ。」

「私もそー思う。はいはい用意しとくから先に手洗いうがいと着替えておいで―。」

「...なんかこースッキリせんなぁ。」

「飲み物何にする―?」

「びー!!」


ビールね。
洗面所に向かう和真に何飲むか聞きながら、ぐちゃぐちゃになってしまったテーブルの上を片づけて
ビールをグラスに注いだ。
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