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あれか。
情緒不安定か。
生理前のアレか?

本人はなんもなかったような態度とっとるつもりみたいやけど、
隠せとらんねん。
わかりやすいねん。
自覚ないみたいやけど...

ここ数日のひとみの様子はなんかひっかかる。
ただの生理前かなんかやったらいいけど
なんやそうじゃない気がしてならん。
いままでこんなん、見たことない。

泣きそうな目してんのわかっとるか?
なにをそんなためこんどんねん。
俺には言えんことなんか?
隠すて、心配もさせてくれんのか?

そら若干元気になってた息子も元気なくなってヘニョヘニョなるわ。




「...ちょお前よって。」


前に寄らせて、後ろに入る。


「もたれていいで。」




後ろからひとみ引っ張って抱きしめるように腕の中閉じ込める。

最初は力入れてたんか、徐々に体の力抜いて身を預けてくる。

身長は高いのに、線はこんなに細い。
ガタイいいように見えるけど、筋肉ムキムキでもないし、脂肪タプタプでもない。
鎖骨はくっきり浮き出とって、首筋も細い。
乳はあるのに胸板は薄いから、力入れて抱きしめると折れてまいそうや。


...もっと頼れや。お前つよないやろ。

そんなに俺頼りないんか。
そんなに信頼できんのか。

強がんなや。
強がるんは俺以外の前だけにしとけ。


まぁ今こんなん言うても、我はってなんもいわんやろけど。

ため息が出そうになったけど、飲み込んだ。
ひとみ意外と気にしぃやからな。



「そーいや今日何しとったん?」

「勉強?」

「いや、聞かれてもしらんし。仕事夏休みちゃうん?」

「うん、夏休みだからせっかくだから、法律とか英語とか。せっかく勉強したのにどんどん抜けちゃってるから入れ直そうと思って。今日はそこの大学の図書館行ってみたの。」

「ほんなら明日も行って勉強するんか?」

「うん、そのつもり。和真は、今日も少し遅かったけど明日も遅くなりそうなの?」

「いんや、明日はそんな遅くなる予定は今んとこない。」

「明日は?」

「ほんまや忘れとった...」

「何を?」

「明日はいつも通りやけど明日は部長くるから遅なる。多分飯も食ってくることになるから、飯作らんでいいで。」

「そっか、じゃあせっかくの外食だし、おいしいもの食べて楽しんできてね。」

「仕事の話やから楽しめなさそうな気するけど、まぁ楽しむように努力するわ。俺としては早く帰ってきたいんやけどな。」

「じゃー終わったらまっすぐ帰ってきてね。」

「せやな。
そや、ひとみも友達とかと飯行ってきてえーんやで?長いこといっとらんのとちゃう?気分転換にもなるやろし。」

「んー、でも当分はいいかな。ご飯いくより、結婚式の資金ためなきゃ。新婚旅行にも行きたいし。友達はお昼にお茶とか、お金かかんない方法で会う。」

「...しっかりした彼女で頼もしいわ。たまには息抜きしよな?」

「うん。」



話してると、わずかに笑顔が戻ってきて安心する。
やっぱひとみは笑顔でないとあかん。



そー思ったら、頭がクラクラしてきたことに気付いた。
あかん。
のぼせる。

まぁ、
泣くの我慢してる顔から少しでも笑顔には変わったし
強張ってた体も力抜けたし
大丈夫やろ。

このままやったら俺が大丈夫やなくなってしまう。



「あかん。のぼせそうやから先出るな。
まっとるから今日ははよ来いよ。」

「うん、ありがと。」


やっぱりひとみは笑顔が一番いい。
なんて恥ずかしくて言ったれんけど。




体拭いて、髪を乾かす。
乾かさんかったらひとみ煩いし。

鏡に映った自分見てなんか笑えた。
むっちゃ赤いやん。
どんだけあつかってん。
のぼせて倒れんでよかった。

できるだけ多めに茶飲んで
肩にバスタオル巻いて
素っ裸で寝室移動。

熱かったからな。

寝室入ったら涼しくて、
あぁ、冷房つけてから入ってきてくれたんかてまた胸がきゅんきゅんしてきた。

やってくれるわほんま。
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