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「...どうして?」
「すこし疲れたからね。今日は早く寝ようと思ってるんだ。だから、明日もらえるなら明日もらうし、無理ならすまないがひとみが食べてくれ。」
「...わかった。じゃあロイの分ってちゃんと残しとくからもし夜食べたくなったら食べていいからね。明日の食後の一服にでも食べよう。」
「あぁ、ありがとう。」
そして理由を聞いて気付いてしまった。
普通を装って話してるこの人の声は少しだけ震えてる。
私が、私が傷つけてしまったから?
思い出させてしまったから?
なのにロイは気付かれないように平静を装ってるの?
「...ロイ。」
「ん?」
「あの...」
「...」
「ごめんなさい。」
「...どうして君が謝る?」
「だって...」
「だって?」
「だって、傷ついてるでしょ?」
「...」
「私、ひどくて無神経なこといっちゃった。」
「??」
「だから、ごめんなさい。もっと考えれば、ロイが傷つくってわかったことなのに、浅はかで、ロイに笑ってほしいのに、さっきは泣きそうな顔させて、今だって声が震えてる。」
「...何のことだい?」
「あの...髪乾かしてる時の...」
「あぁ...言ったじゃないか。ひとみが私を想ってくれているのがわかったと。傷ついてないよ。あれは嬉しかった。」
「あれは?じゃあどれが嬉しくなかったの?どれがあなたをあんな表情にさせちゃったの?」
「...」
「嬉しくないこと、辛いこと、悲しいこと、ちゃんといって?私、この世界でのロイの家族になりたいの。」
「っ...」
「ロイの心を落ち着かせることのできる帰れるところになりたいの。居場所になりたいの。」
「やめてくれ!!」
「!?」
「いや、すまない...すまない、違うんだ。君の気持ちは本当に嬉しい。ここにいてもいいんだと思える。十分に心を落ち着かせることができる場所になっているよ。」
「ごめんなさい...」
「謝らないで...謝らなければならないのは私の方だ。大きい声を出して驚かせてしまってすまない。」
「...」
「わからないことだらけで行き詰り続けていて、イライラしてしまってね。それで君にあたってしまうなんて未熟にもほどがある。すまない。」
「...」
「君にあたりたくないんだ。勝手で申し訳ないが、一人にしてもらってもかまわないかい?」
「...大変なのに、力になれないどころか、邪魔までしちゃって、ごめんなさい。
なにかあったらいつでもいってね、ごめんね。」
「すまない。声かけてくれて嬉しかったよ、ありがとう。」
ロイに「やめてくれ」って言われた時
心臓が止まるかと思った。
涙が溢れ出してきそうで、
ばれないようにそれを抑えるのに必死で、
それから後は何にも言えなかった。
頭が空っぽになる。
何も考えれない。
頭が重い。
あ、お風呂行かなきゃ。
和真が待ってる。
こんな状態のままいったらまた心配させちゃう。
顔洗おう。