私の生きる道

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お話って言っても大したお話ではなくて、
あの人たちが乗り込んできたらすぐに配置につくようにというだけのものだった。


玄関に繋がる大廊下に般若さん

その突きあたりの階段に式尉さん

階段昇ってすぐのダンスホールに蒼紫


べしみさんとひょっとこさんは今回は負傷中だからお休み。
その配慮に当たり前ながら蒼紫の二人への愛情が感じられて微笑ましく感じた。
二人には早く回復してもらって、頑張って働いてもらわなきゃいけないしね。





「御頭、新津の配置はどうするんだ?」





式尉さんの言葉に、そういえば、今回の任務のこと蒼紫以外には言ってなかったんだということを思い出した。
昨日どんちゃんしてるときに、変装してる理由とか、今まで何してたかとかサラッと話した程度だったし。
今から説明するのもなぁ...なんて思っていたら蒼紫からの助け船。





「新津を奴らに当てる気はない。俺の側にいてもらう。」





......あれ?

これ助け舟?

陰からコッソリ見させてもらおうと思ってたのに、あれ?

側にいろっていうことはどういうことだ?





「そーなん?」

「なんだ。不服か?」

「いや、そんな不服っていうか、え?あれ?どゆこと?」

「言葉の通りだ。腕前を確認するでも、隠れていては十分に見えんだろう。」

「いやそんなことは、」

「安心しろ。その姿じゃお前の旦那も言われなければ気付かん。」

「......ですよね。」





式尉さんが私と蒼紫をチラチラ見てる気がするけど、若干動揺してしまっていた私はそれどころじゃなかった。


つまりあれですよね。

直接接触するってこと決定ですよね。


ダンスホールなら隠れられる場所は少ないし、陰から見るっていうのならやっぱり距離は開いてしまう...

『断る!』って言ってしまいたいけど、確かにそばで見ていられた方がよくわかるもの。


剣の腕はもちろん

表情も

その瞳が何を映すのかも


ちらりと蒼紫に目を向ければ、こちらを探るような視線と目が合って
今朝の心配そうな表情と、式尉さんに私のことを言付けてくれていたらしいことを思い出した。

今回の配置も、心配性な蒼紫のことだから私を気遣ってくれてのことだろう。
ならそれにも応えたい。





さぁ、腹をくくりましょうか。





「なんか問題起きた時は助けてな❤」

「フン。甘えるな。」

「もー!般若さん!!なんで御頭こんなにかわいいん!?」

「...その質問には答えかねるな。」

「内心同意のくせにー!!」

「新津、ほどほどにしとけよ。そんなもん言わずもがなだろうが。」

「...式尉、新津、いい加減にしておけよ?」

「なんやねん嬉しいくせに。」

「もう一度言ってみろ。」

「なんもないですー!」





再会まであと少し。

それまで、和気あいあいと楽しく過ごして燃料蓄えておこうかな。
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