歯車T
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錬成された豆腐片手に、和室をでて襖を閉める。
ロイさん、顔色悪かったな...あんなに血を流してたからそれも当たり前か。
でも常に眉間に力が入ってすのに、目には力が感じられない。不安がる私を安心させようと何度も向けてくれる笑顔も、目があまり笑えてないの、自分で気づいてないんだろうな。
体より、心の方が辛そう...
見てて苦しい...
とにかく、今私にできることは食べやすいものを作ってあげることかなぁ。あ、また豆腐がダメになる前になおしとこう。もう夕方だから大丈夫だとは思うけど。
...何にしよう。
和食きっと食べたことないよね。スプーンとフォークで食べる文化だったっけ?うどんはうちにあるフォークでは食べれないかなぁ。うどん食べたい。けどお箸は今の状態で習得するのはしんどいだろうし...消化にいいものね...野菜もたくさんとれた方がいいし、卵も完全栄養食だから使おう。
味噌汁と、鮭と野菜の雑炊と、冷ややっこでいいか。すぐできちゃうな。ちょっと休ませたいんだけどなぁ...。
んー
よし。
ちゃっちゃと作って食べてもらってがっつり集中して寝てもらおう。それでいこう。
思ったが早いか、雑炊を作りながら、味噌汁と冷ややっこの用意を済ませていく。10分もかからないうちにいい香りがしてきた。味見をしてみると、和み系の味と香りが口の中に拡がる。やっぱ和食が1番だね。でもこんな簡単でいいのかな。まかせてとかいっちゃったし、口に合えばいいんだけど。
出来上がってからお皿に盛る前に、ロイさんに声をかけに行こうかな。
「ロイさん、起きてますか?」
控え目に襖をノックし、小さめの声で声をかけてみる。
「あぁ、起きてるよ。うとうとしていたようだ。」
「じゃあご飯は後にしましょうか?起しちゃってすいません。」
「いや、せっかく作ってくれたんだ。できたてをいただくよ。」
「じゃあ持ってきますね。ちょっとまっててください。」
「大丈夫だ。ダイニングでいただくよ。よかったらひとみと一緒に食べたいんだが。」
「わかりました。んじゃああっちに用意してきます。急がないでいいのでゆっくり来てください。」
一緒に食べるのか、なんか緊張するな...
いったんキッチンに戻って料理を盛り付け、テーブルにならべた。