歯車T

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「ただいま〜おりこうさんにしてた?」

家に着くとまっすぐユキの元に向かう。
玄関の扉を開けた時から、まだかまだかとゲージの中から動き回ってる音が聞こえる。
リビングへ入ると一気にテンションの上がるユキに癒される。
買い物袋を床に置き、ユキを撫でまわしてちゅーをする。
なんでこの子はこんなに可愛いのか...
癒されるなぁ...
ほんと癒される...

「ひとみ、買ってきたものは全て冷蔵庫にいれればいいのかい?」

そんなことをしてると、ロイがいつの間にか買い物袋を台所に移動させてくれてたみたいで、ユキに夢中になっていた私に、少し大きめの声で聞いてくれた。

「あぁ持って行ってくれたの!?ごめん気付かなかった!ありがとう、すぐ行くからそのままにしといて〜。」

すぐに洗面所へ行って手洗いとうがいをしてから台所へ向かった。

「ありがとね。手、洗っておいで?」

ロイにも洗うように促がしてから、買ってきた食材たちを手早く片づけていく。

野菜は野菜室。
肉、魚はチルド。
その他は冷蔵室。
ただし今日の晩御飯に使う材料は出したままで。



片づけながらふとさっきのことが頭によぎる。

本読みたいだろうし、先に帰るか確認したら付いてきてくれることになったのが少し嬉しかった。
買い物に一緒に来てくれたときの反応といったらもう。

市場に行くと思ったらしいが連れて行ったのはスーパーで、大きく綺麗な建物に感動していた。
自動ドアに戸惑ってたから、無意味にエレベーターとエスカレーターにも乗せてみると、目を輝かせて作りを知りたがっていたロイが可愛かった。
一つの店で様々なものが買えることに興味を示しながら、そのプラス面とマイナス面を考えるロイがおもしろかった。
できることなら、いろんなところに連れて行ってあげたいし、色んなものを見せてあげたい。
そう思った。

...

美味しいご飯作って、少しでも回復さしてあげよう。

うん。

今日は和真が帰ってくるから、メインには和真の一番好きなから揚げを作ろうかと思ったんだけど、ロイにはまだ揚げ物は辛いかもしれないと思ったので、肉じゃがにすることにした。お肉入ってるけど煮てるからそこまで脂っこくないし、いもはいいよね。煮物だし味しみさせるのに少し時間がかかるから先に作ってしまおうかな。

ロイに「今からご飯の準備するから、PC使ってもいいし本読んでてもいいし休んでてもいいよー」と声をかけて料理にとりかかった。

「手伝いがいるときはいつでも呼んでくれ。味見でも味見でも、なんでも手伝うよ。」なんて返しが聞こえて力が抜け、皮を剥こうと持っていたジャガイモが手から滑り落ちた。

そーいえば肉じゃがのおいも、実は好きじゃない人が多いっていう歌詞の歌あった気がするけど、ロイ食べれるかな。
苦手みたいだったら、今日は頑張ってもらってそれ以降は当分作るの控えよう。



ダイニングでPCを触るロイを横目に、時間を確認すると18時半前。

日が暮れるのは19時半頃。

それまでに
ご飯作って
洗濯もの取り込んで
ユキの散歩にも行ってあげたい...昨日行ってあげれなかったもんね。

地味に時間がない。

急ごう。

ご飯を仕掛けてから肉じゃがの下ごしらえを早々に済まし、煮込み中に副菜とお吸い物を作っていく。
味見にロイを呼ぼうかと思ったけど、ユキの散歩の時間が減ってしまうので、次回に回すことにした。
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