歯車T

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プルルルッ プルルルッ 

シャァァァァァァァ




只今私、
体も上半身拭き終わり下半身は自分で拭いてとその場を離れてお風呂を洗っています。
和真、
疲れて帰ってくるだろうし、普段は朝シャンだけだけどもしかしたら入るかもしれない。
それにあれ以上あの場には...ねぇ?






あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ




やっちまったなぁ






もーやだ。

ほんとにどっちが年上なんだかわかんない。
この二日で何回そー感じさせられたことか。
抱きついて号泣とか...
赤っ恥ですわ。
思い出しただけで恥ずかしい。
思い出さなくても恥ずかしい。





だぁぁぁぁぁぁぁ



心が乱される。





ほんと、
守るためについたたくさんの傷跡も、
それがついた色白で服の上からじゃ全くわからないぐらいの無駄なく鍛えられたからだも
包み込んで受け止めてくれる性格も...


あかんあかん!!!

だめだめ!!!

考えるな私!!!






「ひとみ、さっきから電話が鳴っているが?」

「え?」



一人悶々とした気持ちを振り払いたくて浴槽を必死に磨いていると、背後から声をかけられ出していたシャワーを止めると聞こえてくるのは機械音。



プルルルッ プルルルッ



「電話!?」

「あぁ、さっきから鳴っているが、」

「やばいやばい!!」



持ってきてくれていたらしく、ロイから奪い取るように携帯を受け取って急いで出る。
すると
ロイはリビングに戻り、
受話器の向こうから聞こえてくるのは大好きな人の声。



「もしもし?」

「おっそい。」

「ごめんお風呂洗ってて気付くの遅くなった。」

「ハァ...」

「ごめんて!あとお疲れ様です、今どの辺?」

「...今改札出たとこ。」

「わかった。じゃあおかずあっため直して待ってるね。」

「もう盛ってていいから。熱いの嫌やから。」

「おっけーまかせて。気をつけて帰ってきてね?」

「ん、じゃーまた後で。」

「はーい」



もうそんな時間か!

通話を切って急いで台所へ向かう。
駅からうちまでだいたい10分はかかるから余裕で間に合う。

軽く苛立ってたなー...
疲れてるもんしゃーないよね。
癒し癒し!!

急いで準備を始める。
若干冷えてしまった汁物に肉じゃがを温め直しながらお皿の準備をしていく。
冷たい副採から皿に盛ってダイニングテーブルに並べる。

その時に見えたのはリビングでこちらに背を向け図書館で借りてきた本を静かに読むロイ。
ページをめくる一つの動作ですら絵になるから羨ましい。
いや、そんな場合じゃなくて。



「ロイ、さっきはありがとう。」

「何がだね?」


首だけこちらに向けて聞いてくる。そんな姿も絵になる。
いや、そんな場合じゃなくて。
どーしちゃった私の思考回路。


「電話、たすかっちゃった。」

「そうか、よかった。和真からかい?」

「うん、後10分ぐらいだって。」

「もうすぐだな。」

「緊張しちゃうねー。」

「久々なんだろう?それにしても緊張できるとは、いい関係だな。」

「いや、そーゆー意味じゃなくて」

「ではどういう?」

「見えたらいいなって。」

「...そうか。」


手を休めることなく、なんてことはない話を続ける。

ほんとに、見えたらいいのに。
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