歯車T

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初めの頃は思ったんですよ。





一緒に寝るときは腕枕で

包み込まれるように抱きしめられて

毎晩眠りにつくんだって...






いやーでもね





寝にくかった。





寝にくいというか

寝苦しいというか

ただ苦しいというか。



どんだけ力入れて抱きしめてくれるんだと。

怖い夢でも見たのかと。

寂しかったのかと。

...出張は私も寂しかったけどさ。



普段こんなことあまりしないから珍しく甘えてくれてるのかと思ったら
苦しいと感じる腕の力も
なんだか嬉しくてこしょばくて
身を任せて眠ることにした。





そのおかげで



早くに目が覚めました。





目を開けて見えたのは寝る前に見たのと同じ景色で
体に回された腕の感触はしっかり感じます。
寝て疲れが落ちたはずなのに、なんだか体が痛いです。

体中が痛い。

まさか朝まであのままの状態で寝るとは思わず、その結果がこれ。


愛が痛い。

嬉しいけどさ。


布団から抜け出そうとしたら、より力を入れられる。
だからずっと同じ体制だったのねと頷けた。

なんとか和真を起さないように腕から抜け出し、台所に向かう。

お弁当、作らなきゃ。

せっかくだから、和真の分だけでなく私のとロイのも作ろうかな。
図書館朝から夕方まで行くなら、せっかくだし大学の敷地内のどこかでピクニック気分で食べたい。
もちろん炎天下でなく、涼しげなところで。




体は節々がまだ痛むけど、
和真の腕の力強さやあたたかさに癒されたのは事実で、
朝日を浴びてなお元気が湧いてくる。

大丈夫。

もう空元気なんかじゃない。

今日も一日頑張ろう!
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