歯車T

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ひとみとのやりとりは楽しい。
癒されるし元気ももらえる。

互いが互いを心配する故に起きた先ほどのやり取りも
一見言い争っているかのようなものだったのに心地のよいものだった。





...





まぁ途中、



赦し難い事実の影も見え隠れしたのだが。



あれは恐らく過去に何かあったのだろう。
それが
見知らぬものからか
男の友人からか
過去の男からか
誰からどんな仕打ちを受けたかはわからんが、男は変態だと言いきれてしまうということは
同時にせよ、時間がずれているにせよ
複数の男を変態と判断してしまうようなことがあったのだろう。
でなければ言いきらんはずだ。

あれだけきれいで優しく魅力が溢れていて、隙も多いんだ。
つけいろうとする愚か者がいてもしょうがない。

しかし

しょうがないで終わらせることのできる問題ではない。

過去のこととは言えども赦せることではない。






ハッ!

もしやっ!

ひとみが人を恐れる理由もそこから来ているのか!?

昨夜の散歩のときに話していたあれか!!
深くまで追及しなかったが、被害にあったことがあるというのはもしかすればもしかする...





カッと頭に血が上ってくる。

人を守りたいと学んだ錬金術を使ってでも、
ひとみに害を加えたものに制裁を与えたいと思うほどに。





私も実年齢より若く見られるが、ひとみもなかなかで、外見と反し、27歳だと言っていた。
そうは見えんし感じれんから今まで気が付かなかったが、27ともなればやはりそれなりの過去はあるはずだ。
結婚も控えているんだ。
それ相応の男性経験もあっておかしくない。

そんな考えと過去の男のせいかという線も頭に過ぎったが、それ以上に、昨日の散歩中の話と彼女の様子が頭の中を占めていく。



『もし』という仮定の話は意味のないものだとわかってはいても、思考は勝手に進んでしまう。



おかしい。

私はこんなに感情に左右される生き物だっただろうか。

冷静にならなければ。

私が今ここで熱くなってもしょうがない。
それでこの人を困らせたくもない。
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