歯車T

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「なんで...」







食後一服して
お風呂の使い方を伝授。
シャワーの使い方とかはあんまり変わらないらしく、そこまで感動したりせずすんなり終了した。

ちょっと残念。
あのキラキラしたロイ、かわいくて大好きなのに。



脱衣所でまたロイに自分で上着を脱いでもらってる間に
タオルやら着替えの準備を棚に置いていった。

「下も脱ごうか?」

なんて、ニヤリと笑いながらアホなこと言ってるなーってロイの言葉聞き流して包帯に手をかける。



やっぱりあのロイの肌がこんなに近くにあるのは無駄に緊張するわ。

和真以外の男の人とこんなに近づくことなんかもう長いこと無いからっていうのももちろん理由になるんだろうけど、
相手はあのロイ・マスタングだ。

服の上からは全くわからない、鍛えられてる引き締まった筋肉。
あの色気むんむんの声。
可愛らしさと包容力を兼ね備えた、弟のようで兄のような尊敬する大好きな人。

あのロイ・マスタングさんの腕の中に私がいるんですよ!?

しまった!

背中側からすればよかった!!

洗面台の鏡で今の状態が見えてしまい、まるで抱きついているかのような体制に一気に恥ずかしくなった。

なんでこの男は動揺しないのか。
それはロイ・マスタングだからこそなのか。
さすがだな、ロイ・マスタング。
そんな年から慣れているなんて、クリスマスさんだっけ?に抗議申し立てたいわ。
いや、でもそのお陰で情報収集ができるのか。
もう何がいいのかよくわからん!
いつか女性に刺されてしまいそうだから気をつけてくれロイ・マスタング。
あ、ラスト...
刺さないでくれたら嬉しいんだけどな。
できたらハボックさんも刺さないでくれたら嬉しいんだけどな。
話変わらないかな...

思考が羞恥心からようやく逃れられた頃には
するすると包帯を解き終えた。。







包帯を解いて見えたのは



昨日からは考えられないほど回復した体。







「これは...」


ロイも自分の状態を見て驚いているようだった。







初日

応急処置くらいしかできない私は
じわじわ溢れ出てくる血をなんとか圧迫して止血を試みた。
タオルを何重にも巻いて棒に結びつけて捻って捻って...
ある程度止血に成功したら何枚もガーゼを当てて包帯で固定して。
本当に大した手当をしてあげることができなかった。

だからあまり回復できてないのも当たり前。



昨日

解こうとした包帯は、傷に沿って赤く滲んでいた
見せてもらった傷口は、傷の周りの皮膚も含め鮮やかな赤に色を変えたままで
うっすらとできたかさぶたも、すぐに割れて血が溢れ出してきそうだった。



それが今



どうして?

いつのまに?



誰が...まさかロイが自分で?

場所が場所だから、
いくら器用でもそんなこと難しいってわかってるのに
そんな疑問も浮かんできてしまう。
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