私の生きる道

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ガラガラッ




「時尾。」

「あっ!五郎さん。帰ってらしたんですね。」

「えぇ、今帰りました。」

「すみませんお出迎えもできず...」

「用があったんでしょう、かまいませんよ。」



あぁ、旦那様の笑顔が怖い。

どうしましょう。

旦那様の部屋にいると、お仕事からお帰りになった旦那様がお部屋にいらっしゃった。

どうやらあまり機嫌がよろしくない様子...

動きやすいようにと多少伸縮性のある布で作られてはいるものの、少し窮屈そうな制服を脱ぐ手伝いをする。


きっとお疲れなんだわ。
今日は偉い方ともお会いになるっておっしゃってたし。
そうゆうことが苦手らしいですし、心が特にお疲れなんだわ。


「先に湯浴みされますか?それともお食事になさいます?」

「そうですね。食事にしましょうか。」

「わかりました。すぐに用意しますね。少しお持ちくださいな。」

「まぁそんなに急がなくていい。」


部屋を出ようと襖に手をかけようとすると、その手を後ろからとられた。
聞こえたのは低く綺麗な声。

本当に、どうしたのかしら。
手をとるにしても、もう少し優しくしてくださったらいいのに...



ぐいっ

と効果音が付くほど強くひかれ、部屋の奥に連れて行かれる。





そりゃ

今のこの人はもう旦那様の五郎さんじゃなから、優しくもしてくれないのはしょうがないけどさ...

鋭く綺麗な目を覗かせ、言葉遣いも懐かしいものだし

優しい笑顔や言葉遣いより、こっちの方が安心するけれども。






あぁ



嫌な予感がする。







「仕事?」

「あぁ、話が早くて助かる。」

「よく言う。わかるように態度かえたの一さんじゃない。」

「人の気配もない...さっさと話を始めるぞ。」

「お茶も入れなくていいの?」

「かまわん。」

「なに。新しい仕事?お偉いさんに会うって言ってたけど関係してるの。」

「...」

「一さん?」

「...抜刀斎が東京に入った。」

「!?」

「今は神谷道場というところに身を寄せているらしい。」

「...そう。」

「なんだ。喜ばないのか。」

「喜んでるよ。わーい。よかった。生きてたんだね。」

「...阿呆。」
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