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「先に入ってて?」


「えーけど、今から何するつもりや?」


「んー...心の準備?」


「なんで疑問形やねん。俺に聞かれてもわかるかいな。俺入っとるうちにさっさと入ってこいよ?」










若干挙動不審気味ながらも早く来いよと言ってくる和真の背中を押して、リビングから追い出す。

とりあえずカップやらお皿をリビングから台所へ運んで、片づける。


いったん落ち着こう。


そーいえば本当に一緒に入るの久しぶりだな。
緊張してきたかも。
あの人なんであんなにノリノリなんだろ。
欲求不満&寂しさのダブルパンチですか?
明日も仕事あるだろうし、長くはならないだろうけど...
うわーどうしよう。
久しぶりだもんな、なんか色々緊張する...


いやいやそんなん考えてる場合違う。

絶対ロイに聞こえてた。
絶対ロイにばれてる。

私どんな顔して会えばいいんだろう...

合せる顔がありませんけど、どうしたらいいですか?


...


もう遅い時間だけど
コーヒーとシュークリーム、食べてくれるかな。

...一回確認してみるか。
頭が疲れた時には甘いものがいいらしいし。
今日も頑張るならコーヒーも手助けになるかも。
でもそれでまた寝るの遅くなったら体に響くし...


聞いてみよう。
わかんないことうだうだ考えててもしょうがない。
和真も待ってるし。


食器を食洗機に全部ぶち込んでついでに明日の分のお茶を作るためのお湯を沸かすためにヤカンを火にかけて


向かうは和室。


...



向かうは和室。


...



ただいま私、和室の目の前。



いや、どうしたらい?
ほんとにどんな顔して会ったらいいの?

だってね、
会いたくても会えない大好きな人のこと思い出させて酷いこと言って傷つけて
挙句私は今から婚約者とお風呂入ってえっちするかもしれないんだよ?

やっぱり合せる顔ないですけど...
でもロイに疲れを癒せるあのシューを食べさせてあげたい...



「...ロイ?起きてる?」

「っ...」

「あの、ロイ?」

「...あぁ、起きてるよ。どうしたんだい?」



なんとか絞り出して声をかけてみると、少し間をおいてからロイから返事が返ってきた。

自分の肩がビクリと震えたのがわかる。
声も少しどもった小さなものになってたから、少し大きく明るく話してみる。
なんでこんなに緊張するのか。



「あ、あのね、和真がシュークリーム買ってきてくれたの。甘いから頭もスッキリするだろうし、すごくおいしいからよかったら食べない?」

「いや...いや遠慮しておくよ。すごくおいしいんだろう?ひとみが食べるといい。」

「私はもう1つ食べてるから、気にしないで。頑張ってるロイに差し入れ。私の好きなの、食べてみてほしいなって。」

「...そうか。ありがとう。しかしやはり今日はやめておこうかな。」



初めて...
初めてロイに拒否された。
いや、シュークリームを食べないってのははたから見れば大したことじゃないかもしれないけど、なんか、さっきがさっきだったから重くのしかかってくる。
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