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安心したのか、腕の中にいる彼女の体の力が抜けてきているのか、体を預けてくれる。
眠いと言っていたし、休ませた方がいいだろうな。
そう思い声をかけるも、即答で拒否される。
「これから寝るにせよ休むにせよ、こんな畳の上よりベッドの上の方が休めるだろう。寝室へ運ぶ。しっかりつかまれ。」
「...どーやって?」
「ん?抱き上げてだが?」
「やだ。」
「なぜ?」
「重いもん。」
「舐めないでくれ。これでも鍛えているんだよ?」
「舐めてないもん。鍛えてても重いもん。」
「君という人は...可愛いな。」
「可愛くないもん。」
嫌だといいながら頭をグリグリと押し付けてくる。
またその拒否の仕方が子どものようで...
これも甘えてくれているからの拒否の仕方だろうし、そういう面を初めて見せてくれたのはとても嬉しいのだが、もっともっと甘えてくれてもいいのにと思う。
「ひとみ。こんな時ぐらい甘えなさい。その方が私も嬉しいし安心できる。」
「...」
「安心させてくれないか?」
「...だってロイ怪我完治してないし...」
「ひとみ」
さっきまで私が注意されていたというのに
今度はひとみがまるで怒られている子どものように小さくなっていくようだ。
断わる理由も私を彼女なりに配慮してくれているんだということが伝わってきて心があたたかくなる。
だが、こんな時にまで私の心配などしなくていいのに...
そんな彼女はこちらの様子を窺いながらおどおどと質問をなげかけてくる。
「...ロイは今日図書館行くでしょ?」
「いや、行かないが?」
「...え?なんで?」
「実は昨日借りた本が全然進まなくてね。少し調べたいこともあるし、ひとみさえ気にならなければ家で調べ物と読書をさせてもらえれば助かるんだが...」
「...ずるい。そんな言い方されたら行けって言えないじゃない。」
「ハハッ、それはよかった。」
「...ここでするの?」
「あぁ、普段もこの部屋でさせてもらってるからね。和室は集中しやすい空気もあるし、ここでするつもりだが?」
「...」
「問題あったか?」
「...」
「ひとみ?」
「...ここで寝ててもい?」