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あれ?


ここどこだ?






目が覚めると、目の前にあったのはいつもと違う景色。

真っ白い天井じゃなくて
木目の天井で

いい時間なのか
部屋の中はだいぶ明るい

ベッドじゃ感じないような少し硬めの感触を背中に感じるけど
なんだか落ち着くのは

微かに香る
優しい藺草の匂いと甘い匂いのおかげなのかな


...


甘い匂い??

なんだっけこの匂い...

ときどきフッと香るときがあって

そんなときは妙に落ち着くけど

反対に緊張することもあった気がする


...


あぁ、ロイの匂いだ。








そうだ。

私、ロイ探して和室で生理痛と鎮痛剤に負けて意識飛ばしちゃったんだ。

だからロイの匂いを微かに感じることができたのか...

なんて思ってる場合じゃない。
寝ぼけてた頭が覚醒していく。

ロイ、ロイは?
ロイはどこ行ったの?



「ロイ!!」

「おや、目が覚めたかい?」

「っ!!」

「どうした?そんな泣きそうな顔して...怖い夢でも見たのか?」

「...ロイ?」

「あぁ、私はここにいるよ。
だからなにも怖いことはない。
大丈夫だ。
腹の具合はどうだ?」

「ロイっ」



布団から飛び起きて大きな声で名前を呼ぶと、予想に反してすぐ隣から返事が聞こえてきた。

柱の近くで本を読んでいた。

起き上がった私を見たロイはすぐに
心配ないって微笑みながら、それまで読んでいた本を畳の上に置いて私のそばまできて頭を撫ぜてくれる。

その声に
その表情に
その手の温かさに

ロイがいるって
ここにいるんだって感じることができて
気が付いたら
かけられていた布団も跳ね飛ばしてロイに抱きついていた。



あれ?

私、布団?

なんで布団?

そうだよ、ちょうど今ロイがいた柱の辺りで気を飛ばしたはずなのに。
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