いつまでも夢に溺れていれたなら

□「お菓子といたずら、どちらをお望みかね?」
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 IF story
  ロイと10/31を過ごすことになったら

 
 








「Trick or Treat」

「ひぃ!!...え、何?!」







涼しい...違うな。
寒い季節になってきました。

仕事帰りの自転車はこたえる。

いっそのことがっつりとコートとか着てやりたいと思うけど
そこは日本人の国民性なのか、周りから浮いてしまうことを恐れてなかなか勇気を持てずにいる。

隙間風かキツイ...
のんびりしてたら風邪をひく...

ゆっくり自転車こぎたくなんてない。
寒いから。

日は暮れていたし上着も黒いから、安全には最善の注意を払いながら全身に力を入れて自転車をこぎ、ロイの待つ家へむかった。
あったかいおうちへ急いでむかった。





一日立ちっぱで働いて若干疲れを感じながら、癒しを求めてやっとのこと家について目にしたのは、
なんだかどんよりとした私のおうちだった。

いつもなら電気をつけて待っててくれてるはずなのに
門灯だけついて家の窓や玄関の扉、ポーチライトからは一切の明かりが見えない。

ロイさんお出かけ中??

せっかくあの笑顔に癒してもらおうと思ってたのに...
なんて少し残念に思いながらドアを開けて冒頭に戻る。





「Trick or Treat」

「ひぃ!!...え、何?!」





鍵を開け、玄関に入り、真っ暗で何も見えない中電気のスイッチを手探りで探していると急に聞こえてきたイイ声。

イイ声なんですけどね、真っ暗な中誰もいないと思ってたところで急に声が聞こえたら心臓止まるんじゃないかってほど大きく跳ねるのは当たり前だと思うんですよ。

だからそこのおっきい人。
笑ってんじゃない。



「クックック、すまない、そんな驚くとは思わなくてね。」

「じゃぁ笑わないでください。」

「努力はする。」

「もう。ただいま。」

「あぁ、おかえり。」

「電気つけて?」

「ひとみ?」

「なに?」

「Trick or Treat」

「え、なに?」

「何って、今日は何日だい?」

「31日。」

「じゃあ何月?」

「10月。」

「10月31日は何の日だ?」

「...あ!!」

「ひとみ? Trick or Treat」



電気がついてないの、おかしいと思ったの。
電気つけてってお願いしてもつけてくれないことにもおかしいと思ったの。

そうだった。
今日はHalloweenだった。

私は日本語教師なんです。
日本語とか日本の文化を教えることはあるんだけど、欧米の文化を教えることはないからすっかり忘れてた。
そう言えば街もHalloweemモードに入ってた気もする...
しまったな、授業に盛り込んであげれば良かった...


パチ


そう思いながら、何故かつけてくれない玄関の電気をつけてみると

スイッチに伸ばした私の腕をつかみ、企むような笑みを浮かべながら目の前に立ちふさがるロイがいた。



予想以上に距離が近い。


そして


なにその格好?
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