いつまでも夢に溺れていれたなら

□「じゃあ...じゃあ、さ、僕も抱きしめていい?」
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「ねぇ、いいの?」

「え、なにが?」

「エドとウィンリー二人っきりにしちゃって。」

「なに急に。」




急だなー。
どうしたんだろういきなり。
そんな質問してくるなんて。
しかもなんでそんな切羽詰まったような顔してるの?
何が気になるんだろう...




「アル、ウィンリーのこと好きなんでしょ?プロポーズしたことあるって聞いたよ?」

「懐かしいねーそんなこともあったなー。」

「二人っきりにしていいの??」

「逆に二人っきりにしたいぐらいだよ。」

「なんで?だってあのままじゃきっとそのうち二人くっついちゃうよ?」

「いいじゃないか。さっさとくっついてほしいくらいだよ。あの二人、意地っ張りというかウブというか、なかなか前進しないしさ。」




なんでそんな不安そうな顔してるの?
なんでそんな泣きそうな顔してるの?
久しぶりに会えたんだ。
いつもみたいに笑って一緒に過ごしたいのに。



...



もしかして、ひとみにも青い春がやってきてるの?
もしかして、ひとみは兄さんが好きなの?
ねぇ、兄さんとウィンリーが二人っきりになってることが泣きそうなくらい不安なの?




なんで?




いつも一緒にいるのは僕じゃないか。
旅から帰ったら、一番に向かうのはいつも泊まらせてもらってるロックベルの家だけど、それからすぐに僕は君に会いに来るし、君に会いに来るのはいつも僕だけじゃないか。
兄さんは...まぁ修理とか調整とかしてもらうためにあの家からあんまり出られないっていうのも一緒にここに来ない理由ではあるかもしれないけど...
でも兄さんとひとみが会うときはいつもひとみがあの家まで行かなきゃいけないじゃないか。

ねぇ、そんなに兄さんがいいの?
僕はこんなに近くにいるのに。
僕じゃだめなの?
僕とウィンリーにくっついてほしいの?




「もう好きじゃないの?」

「もう好きじゃないよ。ずーっと前の話。」

「そっか。」

「今僕が好きなのはウィンリーじゃない。」

「え?」

「僕が好きな人は他にいるよ。そういうひとみは兄さんが好きなの?」

「...」




もう好きじゃないっていったら、少し表情が緩くなった気がした。
でも、それも気のせいだったのかもしれない。
話を続けると、今度はひとみの表情が固まった。
もともと大きい目も、さらに大きく開いてこぼれ落ちそうだ。

でもこぼれてきたのは、おっきな目じゃなくてひとみの涙。
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