いつまでも夢に溺れていれたなら
□「男の人はみんなボインがいいんですか?」
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最近、少尉の元気がない
まぁ原因は言わずもがな
敵に塩を送ることは避けたいが
やはり放ってはおけない
「ひとみ、今夜一緒に食事でもどうかね。」
「大佐...もう仕事はいいんですか?」
「あぁ、今日は早く片付いたからね、仕事も終わりだ。だから君も私のことをロイと呼んでくれ。」
「名前は無理です。恐れ多いです。」
「それは残念だ。食事はどうだね?いい店を見つけたんだ。付き合ってくれないか?」
「...そうですね...じゃあご一緒させてください。」
「っ!では、帰る準備ができたら下に降りてきてくれ。」
本人は隠しているようだったが元気のない彼女を見ていられなくて、うまい食事と酒でもとったら気分転換にもなるのではと食事に誘った。
ただいつも断られるし、まぁ今回も断られるだろうとどこか思っていた節があったので、OKの返事が出た時は正直驚いたし嬉しかった。
それが1時間もしないうちに軽い後悔を覚える結果になるとは思いもせず、このときの私は少し浮かれて帰宅の準備に向かったのだが。
カランッ...
「ジャンに私を女として見てもらうことは無理なんですかね...」
「そんなことはないだろう。ひとみはこんなにも魅力的なんだから。」
「でも...」
「でも?」
「でも、でもジャン、ボインが好きなんです、」
「あぁ、聞いたことがあるな。」
「たいさー、どうして私貧乳なんですかねー」
今日は飲むだろうからと軍部に車をおいて、ひとみと歩いて店まで来た。
店内は照明は少し落とされていて、雰囲気がある。
ここは飯も酒も美味い。
少しは彼女の頭を占めるあの男のことも忘れたらいいと思った。
しかしどうだ。
最初はよかったとも。成功していたさ。
運ばれてくる料理や酒の見た目と味に喜び、感動する姿は実に可愛らしく、楽しんでいるようだった。
だがすぐに酒を飲むペースが上がり、あの男のことを忘れるどころか「ここにも一緒に来てみたかった」などと言いだしたかと思えば...
泣き上戸か。
ひとみの瞳が涙で潤い揺れだす。
その原因がなんであれこんな表情を他の男には見せたくなくて、カウンターから個室へと席を移動させてもらった。
酒にのばされる手を止めようとしても止まることなく、泣く勢いも、酒を飲む勢いも、あの男への想いを口にする勢いも増すばかりだ。
...私が泣きたいくらいだ。
「男の人はみんなボインがいいんですか?貧乳だから女として見てもらえないんですかね...」
「そんなことはないさ。胸が大きければいいというわけじゃない。」
「形や感度も大事なんでしょう?ブレダさんいってました。そんなのわかんないし、それをどーアピールしろって言うんですか。」
「まったく...あれに相談したのか?」
「だってブレダさん、ジャンと仲いいし...」
「確かに胸の大きさや形、感度も大事なのかもしれないが、それ以上に大切なこともあるだろう?」
「...?お尻ですか?」
「違う!...人となりだよ。」
「...それならなおさらじゃないですか。胸だけでなく人間性まで私には魅力ないからジャンに女だって見てもらえてないってことでしょう?せめて胸が大きければすこしは自信もつくのに...」
「まったく...そんなに言うなら私が大きくしてやろうか?」
「どうやってですか??」
「男に触ってもらうと大きくなると言うだろう?」
「遠慮しておきます。」
「即答かね。」
「だって大佐に触ってもらったら、なおさらジャンに見てもらえなくなる気がするし、リザさんにも顔向けできません。」
「なぜそこで中尉が出てくる?」
「え?だってリザさんと大佐ってそういう仲なんでしょう?」
「...誰に聞いた?」
「誰にって言うか、なんかもうみんな暗黙の了解になってるっていうか。」
「...」
「だから、大佐もあんまりリザさん悲しませるようなことしちゃだめですよ?」