君の隣と僕の声

□第一章 現実逃避は慎重に
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人生は長い――。

事故とか病気とかは無しにして。
だから、それだけ生きてりゃ受け入れたくない現実の一つや二つあるでしょ。

――ガンッ

でも、消えて無くならないから現実っていうわけで。
だから、とりあえず目を閉じてみる。

――ドンッ

それが駄目な場合、耳を塞いでみる。

――ドガッ

さらに無理なら、心を無にしてみる。

――バキッ

それでも意味がない時は、諦めて現実に目を向けてみる。

「んのっ!!クソ隆也ぁぁあ!てめぇ、俺のアイス食いやがったな!!」

――……。

「はっ!!わざわざアイスに名前なんか書いたって、食っちまえば俺のもんだっての!!」

――……。

「っざけんな!!俺のアイス返せ、ごらぁぁぁぁあ!!」

「もう無理。今さら頑張ったって俺の胃の中で消化中でーす」

――……。

「表に出やがれ、クソ隆也!!今日こそケリつける!」

「ああ、いいぜ。ただし、負けた方は勝った方の下僕な」

「いいじゃねぇか、隆也ぁ。じゃあ、お前は今日から俺のパシリな」

「はぁ?寝言は寝て言いなよ、バカ透真。お前が今日からパシリになるんだよっ!!」

――つーか……。

「あ"ぁ!?アホかてめぇは!!」

「お前がなっ!!」

――いい加減…。

「「黙れっ、んのっぐあっ!?」」

「近所迷惑だろーがっ!!」

受け入れたくない現実を目の当たりにした場合。
我慢できなくなると、手が出るらしい…。




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