白銀に輝く空

□其の三
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通された部屋で、寝転んで、青波はひとまず、いろいろと考え事をしてみた。


まず、こうなったいきさつを洗いなおす。


「俺は新撰組記念館で『浪士の密会』の展示の上を歩いてて、床がなくなって落ちた。そしたら本物に囲まれてて、桂って人に会って、自分が男になってるのがわかった。」


ここまで考えて、はっと青波は気づいた。

「まさか・・・本当にここは過去のあの幕末の世界!?」


ある意味遅いのかもしれないが、青波はやっとそこで、この世は新撰組の本当に実在した世界なのだと気付いたのだ。


「ちょっとまてよ・・・そうだとすると・・・俺はもしかしれ、俺の前世みたいなやつの体にはいりこんじゃったのか??あそこから落ちた衝撃で幽体離脱して、タイムスリップしたんだ!!んで〜・・・俺の顔ってどうなってんだろ??」


きょろきょろして、自分の顔が映りそうなものを探す。


はたと部屋の隅の方に積まれた着物と刀が目に留まった。


「刀・・真剣なら映るよな・・・?」


スラッと抜いてみた刀は思ったとおりの真剣で、曇りひとつない綺麗な刀だった。


「何も斬ったことない刀なんだな・・・。」


刃をみてそんなこと思いながら、綺麗な刀身に我が顔を映してみる。


「・・・なんだ・・・変わらんのか。」

そういえば、名前も変わってない。みんな青波のことを青波と呼んでいた。
それに、苗字も花門のままだ。

「なるほどなー・・・。俺はタイムスリップしちゃったんだ。魂だけ。じゃ、現代の俺の体ってどうなってんだろ・・・?この体の持ち主がはいっちゃてるとか??あははっ・・・」

ちょっと高らかに笑ってみて、部屋に空しく響いたのを聞いて、シュンと気持ちが下がった。

「いや、笑いごとじゃないし・・・。このまま、戻れなくなったら・・・やば・・・どうしよ・・・。」


寝転んで、天井の木目を見つめながら、今後どうすべきなのか考えた。


「でも、、、郷に入っては郷に従え・・・この世の流れに逆らうわけにゃいかないんだろうな・・・生き延びようと思ったら、なんとか流れに従っていかなきゃ。」


そう決心した青波の頭に何かがよぎった。

「ん?そういや。。。俺を間者とし新撰組に入隊させたいって言ったあのひと・・・桂とかいってたな。。。この世界は本物の幕末の世界・・・とゆーことは??・・・あのひと・・・本物の桂小五郎!!??」


がばっと上半身を起こして、今自分が気が付いた事実に仰天する青波。


「え・・・んじゃ、新撰組に行ったら、近藤やら、土方やら・・・そんなんがウジャウジャいるわけか!?・・・うっわーなんか・・・なんで俺がスリップしたんだろー・・・姉貴がこればよかったのに・・・。まぁ、しゃーないか・・・ひとまず、明日はなんか新撰組の屯所行って、入隊手続しなきゃだし。。。なんか危険な仕事みたいだし。。。寝よっ」


ふすまを開けると、ちゃんと寝具もそろっていたので、ちゃっちゃと引いて眠りについた。
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