白銀に輝く空
□其の五
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入隊して数日、稽古で叩きのめされたり。。。叩きのめされたりする以外は、実に平穏な日々だった・・・
が・・・しかし、その平穏は、この時代の波乱を駆け抜けてきた連中の所属する組織だ。
長続きするはずもなかった。
入隊してから何度目かの見回り。
その日も青波は真太とともにいた。
「青波〜だんご屋ぁ〜」
「うるさい。俺怒られる嫌。」
「大丈夫だって。ちょこっと食べてくだけっ」
「・・・・。」
「おっし!行こう!!」
「って、おい!ちょっと待て!!」
思いっきり渋い顔をして睨んだ青波の腕をぐいぐいと引っ張って、真太はだんご屋向かった。
「おじちゃん!だんご二つ!」
「はいよ。」
かわいらしい女の子が出てきて、お茶をおいてくれる。
「ありがとうございます。」
不本意ながらもやって来ただんご屋・・・・。
咄嗟に礼をした青波の顔をその女の子はまじまじを見ると、ぺこっと頭を下げてそそくさと奥へいってしまった。
「ん?俺、なんかした?」
「いや・・・お前、罪なやつだなー」
「はぁ??」
「いや、こっちの話。」
訳の分からないことをブツクサと呟く真太を見ながら、青波は出されただんごにかぶりついた。
「うまいだろ??」
にっこり笑顔で真太は自分もだんごを頬張る。
「あぁ、うまい。」
「ありがとな。」
「は??」
「ここ、俺んち。」
「はい!?」
「俺んち、だんご屋なんだ♪」
(え・・・じゃ、あれは・・・。)
さっきのオヤジと女の子は・・・
「おじちゃんはおじちゃん。俺の父さんじゃないよ。女の子も、俺の従姉妹。んあんていうか・・・俺のうちって言っても、俺が居候してるだけ。俺の本当のうちは無くなったから。」
「え・・・?」
「俺はもともとちゃんとした武士の家系。おじちゃんもそうだけど、ここの女将さんに惚れちゃってさ、家でて、だんご屋になったの。んで、俺のオヤジも結婚して、俺が生まれて、家が無くなって、、、」
「まて。なんだよ、無くなってって?」
と・・・急に真太が下を向いた。
そして声を低くして、ぽそっと呟いた。
「・・・うち・・・攘夷派なんだよ。」
「は!?」
「だから、俺のオヤジ、新撰組と対決して、負けたんだ。」
「・・・」
「だから、俺・・・」
「わかった。そういうこと、こういうとこで言うな。ばれたらやばい。」
真太が何を言おうとしたのかはだいたい予想がついた。
おそらく、花門の名前も知っているのだろう。
(だからあのとき・・・)
入隊した日の小部屋での二人の会話・・・。
あれの意味が分かった青波だった。