白銀に輝く空

□其の十五
1ページ/11ページ


「青波!」

土方と沖田の糾弾のあと、そこから抜け出せた青波はホッと胸をなでおろしていたが、副長室からでたところをアキに捕まった。


「なに?」

ため息をついた後、青波はアキの方を振り向いた。

「なに?じゃねーよ!おまえ、やっぱなんかあったんだろ?だから今の今まで、副長によばれてたんじゃないのか?」

大分とカッカした様子でアキが青波の腕をつかむ。


「なにもないって!」

掴まれた腕を振り払って、青波も剣のある声をだす。

「嘘だな!」
「ほんとだよ!」
「じゃ、なんで副長に呼ばれて帰ってこないんだよ?!」
「うっせーな!アキに関係ないだろ!」

全力で怒鳴ったところで、アキの表情が変わった。

「関係ない?」

しまった、と青波は思ったが、もう遅かった。

「そーかよ。」

そういうと、アキは青波を突き飛ばして行ってしまった。

よろめいた青波はアキを呼び止める事もできず、立ち去っていく背中をみつめた。


そのまま壁に背中をあずけてズルズルと尻餅をついた青波は、ぐっと唇をかみしめた。


(あー…やっちまったなー…)


副長も沖田も、アキも心配をかけた自分が悪いのはわかっていた。

でも、巻き込んだら三人はもとより、タヨに危害が及ぶかもしれないとん考えたら、自分の怪我のことは出来るだけ伏せておきたかった。


「なんでだよー…」

大きなため息とともに、小声でこぼした途端、青波は涙を零した。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ