白銀に輝く空
□其の六
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春次にはたかれてジンジンする頬のまま、青波は屯所に戻った。
あおして、最悪のタイミングで沖田と鉢合わせしてしまった。
「どうしたの?ここ。」
自分の左の頬を指さして、沖田はにっこりと青波に話しかけた。
「・・・ちょっといろいろありまして。」
「ふーん。でも、兄弟でケンカはよくないよ?」
「・・・!?」
思わず反応してしまった。
(みられてたのか・・・)
ここからどいうなるのかと一瞬身構えると、沖田はくすりと笑って、あとで副長室においで。と言い残して去っていった。
青波はいったん部屋にもどって、着替えると、急いで副長室へと向かった。
「花門です。」
「入れ。」
土方の声で部屋に入る。
「何のご用ですか?」
「分かってるだろう。」
「・・・。」
思わず黙る。
すると、土方の横にいた沖田が口を開いた。
「今日、一日、俺が君の見張りしてたんだ。」
「それで、沖田が兄貴と話してるのを見つけた。」
「情報交換でもしてたの?にしては、お兄さんの反応がいまいちだったね。」
「・・・。」
「おめーは間者なんだな?」
あんまりにも黙りこくってたせいで、土方は直球できた。
「・・・はい。」
「粛正されるのはわかってるよね?」
「はい。ばれたときの覚悟はできています。」
「そうか。おめーなんで今まで俺たちが気づいているのに粛正しなかったのか気になってたんじゃねーか?」
「・・・はい。」
「それはねぇ。頼まれたんだよ。」
「??誰にですか?」
「おめーの義姉からだよ。」
「キエさん?」
「そう。キエさんは俺の姉の旦那の妹。ななんだかんだとお世話になったこともあってね。それに、姉さんにも頼まれたんだよ。君と姉はなんでか仲がよいからね。」
「ミツさんと俺が??」
「?そうだよ。よく話してたじゃないか。」
「そう・・・なんですか。」
「何をいっている?」
「いえ・・・なにぶん、ここへ入隊する前にひどく頭を打ちまして、記憶が少し飛んでるんです。」
「そうか。まぁいい。ところで、おめーはここのここの人間として過ごす覚悟のほうはあるのか?」
「あります。」
「裏切られたと知って、攘夷派の連中から恨みをかうよ?」
「もとから、自分は間者としての仕事をするきはありません。」
「そうか・・・だ、そうだぞ。沖田。」
「・・・のようですね。」
「??」
「今日だけじゃない。入隊してからずっと、沖田にお前を見張らせてた。」
「え?」
「それで、君は一度も間者としての連絡をとっているところをみていない。今日のお兄さんと会っているところ以外はね。」
「・・・そうですか。」
「で、どうやら今日のも情報を流していたわけではなさそうだと思ってね。」
「いい加減に警戒し続けるよりも、さっさと懐柔してしまおうというわけですか。」
「よくわかったね。」
「自分は新選組として、仕事をし続けています。もう一度言いますが、間者ではありません。」
「でも、お兄さんはどうするの?」
「自分が裏切ったところで、兄がどうなることもありません。兄は十分あちらで信用を得ています。」
「じゃ、斬るとなったからには斬れる?」
「・・・そのときがくれば、やむないでしょう。」
「よくわかった。」
「でも一応警戒はさせてもらうね。完璧にしんようしているわけじゃないから。」
「わかりました。」
「でも、おめーがちゃんとこっちでいる間は守ってやれる。だが、もしもあっちの仕事をした場合、速攻で斬る。」
「承知しています。」
「よし、じゃ、いい。行け。」
青波は退室した。