白銀に輝く空
□其の五
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見回りを終え、屯所に帰って、青波は一人、真剣で素振りをしていた。
素振りをしながら、青波は真太のことや、自分のおかれている立場について考えた。
(真太は俺と同じ、間者としてここに入った。そして、あいつはその仕事を全うしたいって・・・思ってるんだ。でも、、、俺は・・・)
新撰組の情報を流そうとは思っていない。
でも、真太は違う。
真太は青波に協力を求めているのだろう。
(春次は。。。兄はどうやら有名みたいだ。)
そう思うと、青波は、自分がどうして新撰組に入れたのだろうか・・・と思うのである。
ごちゃごちゃと考えながら素振りをしていると・・・
「そんな考え事してちゃ駄目だよ。」
急に後ろから声がかかった。
ばっと後ろを振り返ると、そこには爽やかに微笑んだ沖田が立っていた。
「沖田さんっ!あ、はい!」
刀を鞘にしまって、気をつけをする。
「あはは。やっぱり考え事してたんだ?素振りにもそれが出るよ。気をつけてね。」
ぽんぽんっと沖田は青波の肩を叩いて横を歩いていって・・・
「あ、そうだ。」
急に沖田が振り返った。
「はい!」
「見回り中にだんご屋よってちゃ駄目だよ。」
「・・・!?は・・・はい!」
「鬼の副長には黙っててあげるから、今度から気をつけてね。」
「はい!すいませんでした!」
「じゃーね。」
沖田の後ろ姿に90度の礼をしながら、青波は冷や汗が止まらなかった。
(なんで?しってんだ??どっかで誰かみてたのか?もしかして、あのだんご屋にいたとか・・・?だとしたら、あの会話聞かれてたら・・・)
と、そこで青波ははっとした・・・。
(もしかして・・・俺、今牽制された?)
ぞくっとして、青波は急いで部屋に戻った。
襖をあけると、そこに真太は居なかった。
(くそっあいつ、こんなトキにどこに・・・)
一緒に帰ってきたのだから、屯所内にはいるだろう・・・と探し回ったのだが、真太は見つからなかった。
そして・・・その日、真太は帰ってこなかった。