白銀に輝く空

□其の六
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土方の部屋をでたあと、青波はダッシュで自室へと戻った。

ばたんっと勢いよく襖をしめて、どさっと畳にそのまま倒れ込んだ。


心臓がまだばくばくしている。


(斬られ・・・なかった・・・)


てきっり、副長室へついたらばっさりと思い込んでいたのだ。

(もとから知ってて、泳がされてたんだ。キエさんの言うとおりにしておいてよかった。
)


はぁーーーと長いため息をついて、ぐっと胸のあたりの服を握った。


(これでしばらくは生きていられる。)



ふぅっともう一回息をはいて、青波は目をつむった。


そして、そのまま眠った。



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「花門。花門。起きろ。寝坊してるぞ。」

同じ隊の隊士の声で目を覚ます。

昨日はあのまま眠り込んでしまったのだ。


「・・・あっはい!」

いそいで服装をただして部屋をでる。

「今日は局長の警護だぞ?なにだらけてんだ?」

「すみません。」

「まぁ、いい。警護ちゅうにへますんなよ。」
「はい。」

いそいそと大部屋にむかい、最終チェックのようなものをする。
青波の所属の六番隊は近藤の一番そばに控える。


井上が組頭なのだから、当たり前のきもするが、青波が入隊して、はじめての大仕事だ。

(今まで見回りしかしたことないし・・・)

正直、青波はまだ人を斬ったことがない。
毎回見回りどまりだし、大事があっても、それは大概、幹部連中の狙い撃ちだ。

警戒され続けている青波がそんな場所にでられる機会があるはずがない。


(やっぱ、人斬ることにもなるかもしんねーよな・・・)


少しそこには気を落とす。

(人なんか斬りたくない)


昨日の兄は斬れるかという質問に、斬ろうと思えば・・・というようなことを答えてしまった。

だが、兄である以前に、人を斬ることが出来ないのだから、毛頭むりだろう。


(・・・ま、ないとは思うけど・・・)


春次を斬ることは、おそらくない。
春次は基本敵に前線にはでないと聞いている。

直接ぶつかる可能性はないだろう。

今回の警護だって、局長自体、天然離心流の四代目だ。

まわりに土方、沖田がいないにしても、六番隊隊長の井上も相当な強者だ。

(わざわざ俺が出る幕もないってかんじ。)


周りのメンツをみて、青波は少し胸をなで下ろす。


(普通にまわりきにしながら、歩いてれば、危険なんてないさ。)
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