白銀に輝く空

□其の六
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近藤の周りを幹部陣が、そのまた周囲を六番隊の隊士で固めながら、局長警護は続いた。

青波はそのなかでも、近藤からは少し離れた結構安全ポイントに配置されていた。


(これだけとおけりゃ、俺が裏切ったとしても、大丈夫だもんな。)


一応警戒するというのは遂行されているわけだ。


(ま、このほうが俺もやりやすい。)


軽い気持ちでふらっと首をめぐらせた時だった。

なにか、違和感がした。


(ん?)


もう一度、くるくると周りを見渡す。


(??なんだ?あの商人。)


異様にこちらをガン見している。


(近藤さんの立場上、普通の町民もああいう顔するのか?)


じいとその商人を監察する。


(ちょっと待てよ・・・あいつどっかで・・・)



頑張って頑張って、記憶をたどって、探り出し・・・


「っ!!」


(思い出した!桂んとこにいたやつ!)


青波が天井を突き抜けて降ちたとき、真っ先に刀を突きつけてきたやつだ。


(まさかっ)


そう思って、ぱっと周りをみれば、何人か見たことがあるような顔を認識できた。



(これは・・・!?)


近藤が狙われているのだ。と直感で感じた青波は、みんなに知らせようかと思ったが、ここで 変に騒げば、周りの攘夷志士がどんな行動にでるか・・・普通のパンピーも巻き込みかねない。


(こっそり教えるか?)


井上に・・・と前へ行こうとするが、さっと遮られた。


「まて。列みだすな。」


(だからっ)


自分は危険を伝えにっ
と思ってその男を見た瞬間、


「?!」

(こいつも攘夷志士だ!!)


はっと気づくと、近藤の周囲に不自然なまでにひとがいる。


(くそっ)


青波はその男の腕を払うと、全力で近藤の元へとダッシュした。


「局長!!」


まさに近藤の前に躍り出たそのとき、わっと近藤に攘夷志士のものだちが斬りかかった。


最初の太刀はなんとか刀の抜きざまに封じたが、いくつも重なる攻撃。。。


頑張って、傷つけないように、出来るだけ、逃げてほしいと思いながら刀を振るう。。。


が。。。


「ぐっ」


傷をつけないようにと変な注意を払っていたのが徒になった、急に飛び込んできた一人の若者に対処できず、そのまま脇腹を刺された。


「のっやろ!」


必死で突き飛ばして、手の短刀をはじく。


(いたいっ)


思わず膝をついてしまった瞬間、頭の上から大きく振りかぶった攘夷志士が斬りかかってきた。


(やばっ)



刀を水平にしてうけるが、脇腹は痛いし、もとの力もない。


(不利だっ)


なんとかこの状況ををぬけだそうともがこうとしたとき、ばさっと血がとんで、その男が倒れた。


みると、近藤がたっていた。



「あ・・・」


「大丈夫か!?」

脇腹から血を流す青波を気遣って、近藤は周りにも問うた。


「他に負傷者は!?」

「大丈夫です。」
「けがはありません。」
「大事ないです。」


あちこちから無事を言う声が聞こえる。


「どうやらお前だけか。ありがとう。助かったぞ。」


ほほえみながら差し出された手を取ろうとして。。。青波は意識を失った。
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