白銀に輝く空
□其の九
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「あの、仕事って?」
土方と沖田の二人につれられて、青波は市中を歩いていた。
隊服で行くのかと聞くと、普段着に着替えてこいと言われたので、いそぎで着替えてきたのだ。
「ついてきたら分かる。」
さくさくと早足で歩く土方の後ろを、沖田とともに歩く。
「…?」
いまいち腑に落ちないという顔をして歩く。
「そんな顔しないで。行けば分かるから。」
くすっと笑って、沖田は青波の肩をたたいた。
大分歩いて、青波はふと気づいた。
(ここのへん…もうちょっと行ったら…花門の家だ。)
沖田がくれた情報では、旦那がいなくなった花門の店は、跡継ぎがでるまではと、キエさんがひっぱてるらしい。
(キエさん…元気かな…)
でも実際には、心から愛していた人は、青波が自らの手で葬ってしまった。
(元気なわけ…ないかなぁ…)
キエのことを思うと、知らずと俯いてしまう。
兄を殺したのは自分だと言うことをしってるのかと、沖田に聞こうかと思ったこともあったが、怖くて聞けていない。
(あいたくても…)
ぐるぐると考え込んでいるうちに、目の前の土方の足が止まった。