★TVXQ★

□MIROTIC -呪文-
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2.ジュンス


不意に引きずり込まれた闇の中。
目を開けてるのかも閉じているのかも分からない程の暗闇。
ジュンスは仰向けで倒れたまま、目だけをキョロキョロと動かして辺りを見回した。


どうしてこんなところに…?

何が起きたんだろう…

ユチョンが消えたと思ったら、誰かに引っ張られて…

気が付いたらここにいたんだ…


どうしたものかとボンヤリ考えていると、突然目の前の暗闇に緑色の光線が走った。
それが1本2本と増えて、目をチカチカと刺激する。
重なっては離れる幾つもの光線を眺めていると、自分が今どうなっているのかなんてどうでもいいような気さえしてくる。


キレイだな…


そう思った瞬間、緑色の光線がジュンスの身体を射し始めた。


「わっ!!」

反射的に体を動かして、光から逃れる。
光に射された腕がジリジリと焦げるように熱い。
こうなると悠長に構えている場合ではなくなる。

素早く身体を起こして、光から逃げるように暗闇を這いずりまわった。


何にも見えない暗闇の中で、唯一の光から逃げるなんて…


「ハァ…」

どのくらい逃げ回っただろう。
もうヘトヘトだ。

ぐったりと地面に倒れたジュンスを確かめるように緑の光線がゆっくりと近づいて、ジュンスの周りを取り囲んだ。
緑色に光る線の檻。
まるで『鳥籠』のようなその中で、ジュンスは力なく目を閉じた。


「ジュンス…」

暗闇の奥から自分の名前を呼ぶ声。
その妖艶な声に頭がクラクラしてくる。
魂が身体から離れていく様な…そんな感じ。
少し怖いけど、身を委ねたくなるような…そんな気分になる。


ジュンス…

ジュンス…

ジュンス…


何度も名前を囁く声が、暗闇とジュンスの身体を支配していく。
薄らと目を開けたジュンスは暗闇に一筋の紅い光を見た。
その紅い光の中から何かが現れて、ゆっくりとジュンスに近づいてくる。

紅い布に身を包んだ女。


…誰?


彼女は妖しい微笑みを浮かべながら檻の中のジュンスを眺めて、満足気に笑った。


「ジュンス…もうお前は私のモノ」


あぁ、彼女は…

『魔女』だ…

幼い頃に聞いたことがある。
美しい魔女が、気に入った男をどこか知らない空間へ引きずり込むのだ…と。

そして、『呪文』を掛けて…
自分のモノにしてしまうのだ、と。


あぁ…

そうか、俺は魔女に気に入られてしまったのか…


魔女の笑い声が暗闇に響く。
少し諦めにも似た気持ちでジュンスは静かに目を閉じた。





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