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□ハローベイビー!
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夢でも見てるのかと思った。
突然、何の前触れもなく現れて、あの頃と何も変わらない笑顔と声と。
それが現実だと知った瞬間、涙がこぼれそうになって、必死に堪えていた。
だから、何も言えなくて、ただ見つめることしか。
これが夢なら永遠に覚めないで欲しいと、信じてもいない神様にお願いしたいくらいだった。
もう二度と
会えないと思っていたから。
カランカランとドアに取り付けた小さな鈴が軽やかに鳴って、顔を上げると、そこには二度と会えないと思っていた人間が立っている。
こんなのドラマか漫画にしかない奇跡だと思っていた。
「いらっしゃいませ」と言いかけて時が止まる。
一瞬の沈黙が永遠にも感じて、視線を外せずに。
驚きと喜びと悲しみが一度に押し寄せた。
そんな顔で、ただ相手の顔を見つめるしかなかった。
「シヌ?」
大丈夫?と少し不安げに小首を傾げるジニョンの顔に、やっと我に返った。
今にも溢れてしまいそうな涙と感情を、何とか体の奥へ押し戻して、少し引きつった笑顔で頷いてみせると、ジニョンもまたフニャリと顔を緩ませた。
あ…。
その顔に、思わず緩んでしまいそうな口元を必死に隠して、無理矢理に仕事の顔に戻す。
「い、いらっしゃい」
「久しぶり…だね」
なんとなくギクシャクする会話。
本当、何年ぶりだろう。
あれから…。
「5年ぶり、くらい…?」
心の声が聞こえたのか、ジニョンが口を開く。
5年。
もっと長く感じていたけど。
5年間。
一度も連絡しなかったのに。
どうして?という問いかけを言葉にする前に、またジニョンが口を開いた。
「お店、出したって聞いたから…」
少し照れたような、気まずいような、そんな口調で。
あぁ、そっか。
共通の友達は何人かいるし、いずれジニョンの耳にも入れば良いと心の奥底で願っていたんじゃないか。
「まぁ、こんな小さなカフェじゃ自慢できないけど…あの頃の夢、叶えたって感じかな」
そう返すと、ジニョンの表情が少し曇ったように見えた。
『あの頃』
ジニョンはその言葉に負い目を感じたんだろうか。
また沈黙が押し寄せ…
「とーちゃん!」
え?
突然、店内に響いた小さな声。
「とーちゃん!お腹!減った!」
ええっ???
恐る恐る声のする方へ視線を下げると、ジニョンの足の間に小さな顔が覗いていた。
「…ジニョン、これ…って???」
『これ』と指でさした先に視線を落としたジニョンが、また照れたような気まずいような、そんな顔で笑った。
え?
もしかして…?
「あ…これ…この子は…その…僕の子…です」
そう言って、顔を赤らめるジニョン。
そんな顔すら愛おしいのに…
あぁ、神様。
こんな悪戯しないでください。
信じてもいない神様を憎まずにはいられなかった。
だけど、ほんの少し、感謝してます。
神様。
こうしてまた、
出逢わせてくれて、
ありがとうございます。
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