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□ボクがキミを。
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ふと目を覚まして枕元の時計を見ると午前2時半を回っていた。
「ジニョン…まだ起きてるの?」
ベッドに取り付けたクリップライトの明かりの中で、大きなヘッドホンをしたジニョンの姿が見えて声をかける。
ジニョンはベッドに寝転がって小さく頭を動かしてリズム取りながら、枕元に置いてあるキーボードを慣れた手つきで操作していた。
そんな彼に僕の言葉は届いていない。
それはヘッドホンのせいではなくて…
例えヘッドホンをしてなくても作曲に夢中になっている時のジニョンは誰の言葉にも反応しない。
だから、さっきの僕の言葉はただの独り言でしかない。
「ジニョン…」
聞こえないと分かっていて、再び呼びかけてみる。
気づかないと分かっていて、彼の横顔を見つめた。
まるで何かに取り憑かれたみたいに夢中になってる。
普段はヘラヘラしてるのに、こういう時は別人のように真剣な顔をする。
「ジニョン…」
ベッドから出て、ジニョンの傍に移動しても彼は全く気付く様子が無い。
しょうがないな…
小さく息を吐いて、暫くジニョンの横顔を観察する。
こんな時…
どうしようもなく気持ちが溢れそうになる。
ジニョン…
僕は…
…心配なんだ。
そうやって夢中になりすぎて、眠ることも食べることも全部忘れて…
いつか倒れてしまうんじゃないかって…。
だから、僕が守らなくちゃいけないって…。
それから…
それから…
…
その先は言葉にできない。
言葉にしたら壊れてしまう…
言葉にしたら止まらなくなる…
苦しいほどに胸を締め付けられて溜息と共に視線を床に落とした。
ジニョン…
僕は…
ジニョンのことが…
「…好きだ」
半分無意識だった。
そんな自分の言葉に自分で驚いて慌てて顔を上げる。
宿舎の一室。
二段ベッドが二つ置いてある小さな部屋。
夜中とは言え、同じ部屋にバロとゴンチャンもいるのだ。
そんなに大きな声じゃなかったにしても…
こんなの聞かれてしまったら…
恥ずかしいじゃないか。
静かに立ち上がって二段ベッドの上段で眠るバロとゴンチャンを確認する。
すやすやと寝息をたてる2人は起きる気配もない。
「何やってんだろ…」
自分の行動に半ば呆れながら、ベッドに腰を下ろす。
ジニョンは相変わらず作曲作業に夢中だ。
今の彼なら、この世界が消えていても気づかないんじゃないだろうか。
でも、そろそろ寝ないとマズイ時間だ。
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