作品

□お兄ちゃんとの秘密。
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夕方。

和希は楽しみ過ぎて、いつもよりも早め学校を出て、夕飯の材料を買って帰ってきた。

今思えば、遊は部活で帰ってくるのは8時以降だ。
玄関の前でしょんぼりとしていると、後ろから誰かの足音が聞こえた。

「鍵はどうした?」
振り返るとそこにはスーツ姿の上総が立っていた。
長身で、スタイルも良く、顔も良ければ、頭もいい完璧なイケメンだ。
「あるんだけど、カバンの中で全然取れなくて‥‥苦戦してたところ」
右手と左手には夕飯の食材。
肩に掛かったショルダーバッグは後ろでねじれてうまく取れないでいたのだ。
子犬が尻尾を追いかけるように、和希もクルクルと回る。

見かねた上総は和希の腕を掴み、無理やり止めて両手に持った重い荷物を奪い、和希に言った。
「早く開けてくれないか」
和希はハッとして、バッグから鍵を取り出し、ドアを開ける。


やっと玄関に入った2人は靴を脱ぎ、リビングへと向かう。
食材を冷蔵庫の前に置き、バッグをリビングのソファーの上に投げ捨てて、早速夕飯作りに取りかかろうとした時だった。
「今日は、俺がやる」
そういったのは上着を脱いだ上総だった。
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