novel*h

□隣の君
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目が覚めた。

今日は学校になんか行かなくてもいいから、アラームはセットしてない。


ただ、ふと頭が覚醒しただけ。







【隣の君】




僕の部屋の遮光カーテンの隙間から、薄く光が射し込んで
僕の隣の、一君の顔を照らした。


昨夜、さんざんに鳴いて、泣いて、赤くなってしまった君の目元にそっと触れる。

起きちゃうかな?と思ったけど、よっぽど疲れたのか
長いまつげを小さく震えさせただけだった。


(きれい…)


大体、一君は僕より早く起きる。

だから、彼の寝顔なんてすっごくレア。

僕の方を向いて静かに寝息をたてる一君を、僕は素直に、きれいだと思った。



そのせいだ、とは、面と向かって言えないけど
今、一君とちゅーしたくなった。

したら怒るかな?

「人が寝ているときに…」って、文句つけられちゃうかな?

それでもいいや。
いいよね?

だって、大好きなんだから。


(一君…)


そう、勝手に自己解決して、
僕は無防備な君の唇を奪った。



唇同士を離して顔を見る。

……起きない。


(ごちそうさま、)


心の中で呟いた瞬間、目の前の長いまつげが、
ゆっくり、ゆっくり、持ち上がった。



僕は、ふっと目を閉じる。

寝た振りを決め込むことにした。






_______________

→斎藤視点

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