novel*h

□足りない?
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「あはは、そういえばそうだね」

「だろ?」

「うん、確かに平助は可愛いけど、大事なのが足りない…」


「「色気!!」」



一君は、そのへんも完璧なんだけどねー
はは、そうだな

と、会話が続いていく。

左之さんと総司が、二人で恋人自慢をすることは、珍しくなくなった。

その二人の相手である俺と一君は、そんな話はこっ恥ずかしくて聞いてられないけど。

だから、今初めて聞いた…




こんな話してたのか!!!








【足りない?】



そっか…俺、左之さんにそんな風に思われてたのか…

言われてみれば、俺と一君は同い年だけど全然違って、
なんつーか…やっぱ、色気?っていうのが、一君にはある。気がする。

普段隠してるけど、あの襟巻きの下の細くて白い首筋とか、
しかもそこに総司がつけた紅い跡とかあったら、俺でさえ、うわわ…っ
ってちょっと焦るし目線反らしちゃうし。


縁側に座って、
左之さんも、一君みたいに色気がある方がいいのかなー…
なんて考える。


「はぁ…」

「平助?」

「ぉわあっ!!は、はじめくん…?」


一人で考え込んでて、全く気付かなかったー!
幹部失格じゃね?俺…


「どうした、溜め息などついて」


あんたらしくもない、と続け、一君は俺の隣に腰掛けた。

まぁ、半分は一君のことで悩んでたみたいなもんなんだけど。

そんなことは言えるはずもなく…。


「いや、なんでもねぇ!
一君は?こんなとこで何してたの?」

「俺は、稽古をしていた。
それより、なんでもないのに溜め息をつく訳がないだろう。
何かあったのなら、言った方が楽になる。」


そう言って俺を覗きこむ一君。

…ま、いいか、それとなーく言っちゃえ。


「あ…あのさ、色気…って、どうやったら「総司に何か言われたのか」

「へ…っ!?」

「そうなのだな。
その類のことを言うのは総司くらいだろう。
最近やたらに俺の色気がなんだのと言ってくる故…」

「ちょ、ちょっと待って一君?」

「なんだ、違うのか?」


いや、違ってはいないっ、つーか総司と何の話してるんだよ。

…もしかしてそれが普通!?

左之さんは、色気がない俺を気にしてあえてそういう話をしないんじゃ…

俺…、色気がないだけじゃなくて、左之さんに気まで遣わせてる…?


「駄目じゃん…」




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