浅い夢−鳴門−
□君から逃れられない
1ページ/2ページ
何時から、君と目が合わなくなったんだろう。
何時から、二人でいても笑いあわなくなったんだろう。
付き合い始めたころは、こんなんじゃなかった。
二人でいると、楽しくて、君に恋焦がれて、
君がいとしくて。
どうしてこうなったんだろう。
ねぇ、何時から私たちの心はすれ違い始めたんだろう。
横で静かに息をして寝ている君を見つめる。
整った顔に今は閉じられている、優しい瞳。
そんな瞳にある生々しい傷跡。
その傷跡に、そっと口付けをおとす。
気づかれないように、そっと布団を出て、着替える。
必要な荷物と、気持ちを持って出て行くつもりだった。
でも、なんでだろう。
いまさらになって君が、この部屋がとても愛しい。
思い出が詰まりすぎてた。
二人でテレビをみて、コタツに入って、ご飯を食べて。
この空間を作り上げてきた。
そんな心地よい雰囲気は、いつでも私を迎えてくれた。
でも、もう戻れないね。