浅い夢−鳴門−
□瞳の奥
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死ぬことが怖くないといえば、嘘になる。
そういって今にもなきそうな表情を少し見せて黙った君。
そんな君に、きっと惹かれていたんだと思う。
上忍の私と、ゲンマ。
たびたび一緒の任務になることが多く、待機所でもよく会うようになった。
会うたびに、互いの視線が一瞬だけ交差する。
そして、瞳の奥にある炎のような気持ちを、私は隠し続けていた。
あるときの、任務で、ゲンマが傷ついたという話を聞いた。
入院していると。
行きたいという気持ちが、募った。
任務にいって以来会うことがなくなっていて、交差していた視線も
燃え上がるような感情も、すべてなくなっていた。
会いたい。
会って、話したい。顔が見たい。
その気持ちが、私を病院まで突き動かした。
病室の前で立ち止まる。
数回病室の番号を見て、深呼吸。
そして、ノック。