浅い夢−鳴門−

□瞳の奥
1ページ/2ページ

死ぬことが怖くないといえば、嘘になる。

そういって今にもなきそうな表情を少し見せて黙った君。
そんな君に、きっと惹かれていたんだと思う。

上忍の私と、ゲンマ。

たびたび一緒の任務になることが多く、待機所でもよく会うようになった。

会うたびに、互いの視線が一瞬だけ交差する。

そして、瞳の奥にある炎のような気持ちを、私は隠し続けていた。

あるときの、任務で、ゲンマが傷ついたという話を聞いた。

入院していると。

行きたいという気持ちが、募った。
任務にいって以来会うことがなくなっていて、交差していた視線も

燃え上がるような感情も、すべてなくなっていた。

会いたい。

会って、話したい。顔が見たい。

その気持ちが、私を病院まで突き動かした。


病室の前で立ち止まる。

数回病室の番号を見て、深呼吸。
そして、ノック。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ