浅い夢−鳴門−
□それは儀式のように
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「ねぇ、楽しい?」
何度も問いかけられた言葉が、また耳を通り過ぎていく。
んー、と、曖昧に返事を濁せば少し鋭い視線が背中に刺さる。
其の視線の先を見つめれば、艶やかな口元は三日月の様に綺麗に歪む。
シカマルの部屋に昔から変わらずに気づけば居るような存在は変わらず今日も其処に在り、
ふと背中を向ければ其の背中に細く柔らかい身体をそっと寄せる。
そして先程まで見ていた空を又見上げる。
僅かに傾いた身体を押し戻すことも無く、彼女は其処にただ在り続けた。
半刻過ぎた辺りで、彼女が反攻する様に此方側へと体重が僅かに傾く。
暮れ泥む空をもう一度だけ見上げ後ろに視線を落とす。
静かに寝息を立てながらゆっくりと彼女の身体が横へずれて行くのを抱きかかえる様にして止める。
其の儘彼女を抱き上げ日の光を浴びた白い布団へと身体を降ろす。
彼女の顔を覗き込み、透き通る様な白い肌にかかる漆黒の髪を弾くように指と絡ませる。
指と絡まった髪は彼女の頬を滑り落ち白いシーツの上に音も立てずに落ちる。
露わとなった仄かに桃色に染まった頬に軽く口付けを落とせば、更に桃色になる。