浅い夢−鳴門−

□幸せな夢
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――何か、夢を見た気がした。

ゆっくりと男は体をあげ、いつもつけている口布をつけ、ため息をつく。

扉から、遠慮がちにノックの音が聞こえる。

カカシ、と男の名前を呼ぶ声が聞こえる。

男は、口元を緩め、ドアを開ける。
最愛の人の顔を見た男は、何かを言わせる前に女を抱き寄せる。

冷たい体を、温めるように男は女を抱きしめた。
そして、涙を零しながら一言。

「幸せな、夢だな・・・。」

そう呟いて、女を見つめた。
女は、優しげに微笑み、男の口布にそっと指をかけ、そのまま下におろし、口付けをした。
そして、すべるような動作で男の耳元に口をよせ、

「カカシ、誕生日おめでとう。 もう、3年もたっちゃったけど。」

そういって、男を愛しげに見つめた。
そして、ゆっくりと冷たい指先で、部屋の奥の机を指差す。
「プレゼント、置いたから。見てきて。」
そういって、女は男から離れる。
男は、そっと頷き、奥の部屋に行く。

そして、机の上にある箱をそっと開ける。
中には、昔男がほしがっていたペンダントが入っていた。

それを掴むと、男は急いで玄関へ向かった。

そこにいたのは、最愛の彼女じゃなく、お面をした一人の男性だった。

そして、一言。

「三年前に行方不明になったあいつが見つかった。」
もちろん、遺体で。
と、面をした男はそっとつけたした。


夢を見たあとに突きつけられた現実、ペンダントは彼女の血がついていました。
(きっとずっとどこかでわかってた。それでも信じたくなかった)
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