浅い夢−鳴門−
□諦めきれない想い
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そして、そんな君に何時からか惹かれていた。
私に向かって微笑んだ優しい表情に。
返り血を浴びたときのあの美しさに。
何度も私を助けてくれた広い背中に。
きっと、ずっと前から。
いつも君を見つめていた。
そんな瞳の先にいるのは、いつもの女性。
君をあれほど柔らかい表情にさせるのは
あんなにも暖かい表情になったのは、
彼女のおかげなんだろう。
ああ、涙がでちゃうな。
君と彼女が寄り添う姿に、水に落ちていくような、そんな感覚を覚えた。
苦しい、誰か助けて。
何度叫んだだろう。
それでも、君はひたむきに彼女だけを見つめ続けた。
私はひたすら君の名前を呼び続けた。
君と一瞬だけ視線が交差した。
すぐにそらされた視線。
こんなにも、知ってるのに。
こんなにも、君があのこのことを愛していると。
それでも。
諦めきれないよ
(ずっと好きだったから。)