浅い夢−鳴門−
□揺らいだ心
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のけぞる刹那を立ち上がり抱きしめる。
理性が失われた刹那もゲンマの首に腕を絡め、体を密着させる。
その瞬間に香った匂いに、ゲンマは顔を歪める。
何時ものように隣で香っていた匂い。
時には背中を預けたり、バカしあったりして、
笑いあった親友の匂い。
ごめんな、ライドウ。
こんなことを思うならしなければよかった、とゲンマが小さく呟く。
小さく自嘲して、ゲンマは自分のものを刹那にあてがう。
濡れたところに入れ込む。
淫らな音が響く。
「キッツ・・・、」
ゲンマの声と、ぐちゅという音が混ざり合う。
慣らすようにゆっくりと腰を動かす。
刹那の顔が苦痛に歪み、痛みをこらえるように指先に力を込める。
ゲンマの背中に爪を立てて、痛みを逃そうとする。
そんな刹那の顔も、次第に快楽に溺れていった。
そして、余裕のない心の隙間にいた人の名前を呼んだ。
「ライ、ド・・・、」
ごめんなさい、と続くはずの言葉は、快楽に飲み込まれた。
【揺らいだ心】
(留めることがバカらしくて)