SHORTSTORY

□さよならとても愛してた
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「和泉(イズミ)のばか」

俺は来る事もない恋人瀬川 和泉のことを待っていた

1週間前に取り付けたこの約束を彼はきっと覚えていない

‘‘24日いっしょにすごそう”

いっしょの家に住んでるのにメールでしか連絡がとれず家にはめったに帰ってこない

俺たちって本当に恋人?

そう思いながらもメールをしたら

‘‘分かった。じゃあ1時に公園で待ってろ”

そう送ってきたことを

貴方は覚えていないでしょう?

だって見てしまった

貴方が可愛らしい男の子と手を組み歩いていくのを

貴方にとってこの約束がどれだけちっぽけなものなのか

貴方にとって俺がどれだけちっぽけな存在なのかを思い知らされた気がした

それでももしかしたら戻ってきてくれるんじゃないかとここを離れられない俺

そんなときに届いた一通のメール

‘‘今日家帰らねーから飯いらねー”

約束のことなどなにも知らないといったようなメール

10月の寒空の下6時間も待っていた俺はどれだけ愚かなのだろう

貴方は俺との約束など忘れて今、他の誰かを抱いている

そう思うと悲しかった

俺は貴方がいないとだめなのにきっと貴方は俺が消えることを望んでる

ぽつぽつ

ザアアアアアアアア

雨まで降ってきた

最悪

早く帰ろう

帰る?

どこに?

あの家に俺の帰る場所なんてない

それでも俺の居場所はそこしかない

家・・・出よう・・・

居場所がないなら自分で作ればいい

これ以上は俺が惨めになるだけだ
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