BL小説(TIGER&BUNNY編1)

□【虎兎】回帰
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今日の出動はかなり危険な現場だった。
1部だけでは対処が出来ないくらいの火災現場。
2部の僕らも現場に急行し、人命救助を余儀なくされた。
虎徹さんと共にまだ消化されていない部屋に向かい、小さな子供を見つけたが
突如、子供を抱えていた僕の頭上に柱が倒れてきた。
虎徹さんは咄嗟に僕を突き飛ばした。
幸い子供も僕も怪我はなかった。

「虎徹さんっ!大丈夫ですか?!」

子供を庇いながら虎徹さんに声を掛ける。

「俺は大丈夫だ。バニーは早く子供を外へ連れて行けっ!」

虎徹さんの言葉に僕は躊躇したが、腕の中の子供が咳き込んでいた。

「虎徹さん動けますか?」
「・・・ちょっと無理みたいだな。足が柱に挟まっちまって・・・」
「虎徹さん!」
「いいから早くその子を連れて行けっ!!」

虎徹さんの大きな声に僕は・・・

「・・・後で必ず助けに来ますから・・・待ってて下さい・・・」

子供を抱え直して立ち上がった。
背中から虎徹さんの声が聞こえた・・・

「・・・待ってるぜ、ヒーロー・・・」





漸く鎮火した建物。
僕は子供を外に連れ出して近くにいた救急隊員に子供預けた。
それから虎徹さんのいる部屋まで戻り、救出した。
ヒーローインタビューもそこそこに僕らはトランスポーターへ戻った。

「サンキューな、バニー。」

シャワーを軽く浴びて僕らは服に着替えると
堅めのソファに座った。

「・・・バニー?」

僕は俯いていた。
ヒーローという仕事は時に命を落とす危険性が伴う。
今は2部リーグにいて軽犯罪ばかりだが今回のように大規模な火災現場や重犯罪者たちに立ち向かわなければならない。
久しぶりの危険な現場。
そこで虎徹さんが危ない目に合ってしまった。
僕がもっとしっかりフォローしていれば・・・
怪我もなく戻れるように僕がしっかりしなければ・・・
スーツのお陰で虎徹さんに怪我はなかった。

「バニー?」

虎徹さんの手が僕の頭を撫でる。

「なに落ち込んでんだよ?」
「・・・だって・・・貴方を失うかと思うと・・・恐くて・・・」

僕は恐かった。
もし、僕が戻るのが遅かったら虎徹さんは・・・
能力もまだ戻る時間ではなかった。
自力でなんとかなるような状況じゃなかった。

「こ〜ら、バニー?」

虎徹さんの指が僕の唇に触れる。
知らない間に唇を噛んでいた。




そんな事があって数日。
僕は虎徹さんの部屋で幸せな時間を過ごしていた。
ご飯を食べて、お酒を飲んで、テレビを見て笑って・・・
そんななんでもない時間がどうしようもなく大切だ。

「バニー。」

虎徹さんが急に僕のお腹辺りに抱きついてきた。

「どうしたんです?」

僕の質問に答える事もなく、虎徹さんはするすると僕の服を捲り上げておへそにキスをした。

「・・・虎徹さん?」

おへそなんかにキスなんて・・・
ちょっとくすぐったい・・・

「俺は必ずここに帰ってくるからな」

え?

僕は虎徹さんを見た。
虎徹さんは微笑んで何度もおへそにキスをする。

・・・そういえばキスをする場所によって意味があると聞いた事がある。
髪は思慕、額は祝福、頬は親愛、唇は愛情、
そして、お腹は回帰・・・

分かって言ってるのかな?
まぁお腹じゃなくておへそなんだから、また違う意味合いがあるかもしれないけれど・・・

「どんだけ危険な所へ出たとしても俺は必ず・・・ここに・・・お前の元へ帰ってくるよ・・・」

虎徹さん・・・貴方は何故そんなにも・・・

彼の髪に手を差し入れる。

「虎徹さん・・・」

僕が呼ぶ貴方の名前が甘くなる。
虎徹さんは僕の顏まで近づいてきて・・・それで・・・

「・・・バニー・・・」

とびきり甘い声で僕を呼ぶんだ。



2013.3.16
 

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