BL小説(TIGER&BUNNY編1)
□【虎兎】地味虎について考えたらこうなった。後日談
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「ワイルドに吠えるぜ!」
あいかわらず彼はヒーローをやっている時、熱血で人命救助を最優先に動く。
テレビで見ている人達はそんな彼の姿にいつのまにやら心を奪われている。
最近は彼の行動も読めるようになって息が合ってきてるとロイズさんや斉藤さんに言われた。
そんなの当たり前じゃないか?
僕がそう合わせているんだから。
彼が暴走しそうになっても止めれば止まってくれる。
それは逆も然りで。
彼がワイルド・タイガーから鏑木・T・虎徹に戻ると、あいかわらずの可愛い僕の虎徹さんになる。
「・・・ば、ばに・・ちゃん・・・さっきはごめん・・・」
「なんの事ですか?」
「・・・さっきのしゅ、出動ん時・・・い、い、いきなり俺、飛び出しちゃった…から・・・」
彼はトランスポーター内でシャワーを済ませて私服に着替えてから、僕がシャワーから出てくるのを待っていたようで硬めのソファにも座らずに俯いていた。
・・・あぁ、なんて可愛い人・・・
シャワーから上がったばかりの僕はまだジャケットを着ず、黒のTシャツとカーゴパンツ姿でソファに腰を落とした。
「大丈夫ですよ?あの時、虎徹さんが行かなかったらあの子は助からなかったかもしれない。
僕はあの判断は正しいと思います。」
まだ立っている彼を見上げてにこりと微笑んだ。
彼は顔を赤くしながら、口をパクパクさせて僕を見る。
「・・・虎徹さん?」
僕が問いかけると虎徹さんは声にならない声で呟いた。
あまりに小さすぎて聞こえない。
「なんです?」
根気良く聞き返すとちょこんと僕の隣に座って真っ赤な顔のまま、
「・・・ぁ、ありがとぅ・・・」
と呟いた。
嬉しいと言って僕のTシャツの裾を掴む虎徹さんが可愛すぎて僕のメガネが割れるかと思いました。
こんな可愛い僕の虎徹さんだが、何故かセックスをする時はワイルドになる。
アイパッチをつけてる時みたいに・・・。
最初は信じられなかった。
真っ赤になってもじもじしている彼がカッコ良く、大人の色気をただ漏れにし、僕を翻弄しまくる。
「バニー・・・俺のバニー・・・」
艶っぽい低く甘い声で囁いて彼の唇が、指が僕の身体を熱くする。
至る所に彼の印を刻みこまれると嬉しい。
そんなに僕を求めているのかと思うと嬉しくてどうしようもなくなる。
「可愛いな・・・俺のバニー・・・」
普段の彼からは絶対言われない言葉。
こんな時の彼は本当にカッコ良くて・・・
「ばにぃちゃん・・・」
「はい?」
「・・・あ、い、いつも・・・ごめん・・・」
「何がです?」
「・・・あ、あの・・・その・・ばにちゃんと・・・セ、セッ・・・セックスする時ぃ・・・乱暴にし、しちゃうから・・・」
真っ赤になって俯いて、可愛い・・・
「大丈夫ですよ?・・・だって僕を愛してくれてるからでしょ?」
「あ、うん。・・・そ、そうなんだけど・・・。
・・・ひ、酷くして・・・ばに、ちゃんが痛い思い・・・してるんじゃ、ないかな?って・・・思って・・・」
・・・もぅ、なんて優しい人なんだっ!!
俯いてもじもじしてる虎徹さんを強く抱きしめた。
「ば、ばにちゃ・・・?!な、なに??」
オタオタして僕の腕の中で暴れる虎徹さんの背中をゆっくりと撫でる。
しばらくそうしてると虎徹さんの身体から力が抜けて僕に寄り掛かってきた。
「・・・痛くなんかないですよ?
・・・貴方は優しくしてくれてますから…。激しい時もあるけど、虎徹さんにされてると思えば嬉しいです。」
「・・・ばにちゃん・・・」
恐る恐る僕の背中に手を回し、ギュッと抱きついてきた。
「・・・おれさ・・・"その気"になって、あ、あんな風になるの・・・ばにちゃんだけ・・・だから・・・」
「・・・え?!」
突然の告白に僕は抱きしめていた腕を解いた。
虎徹さんは俯いたまま僕の腰あたりの服を握っている。
「でも、貴方・・・奥さんいたじゃないですか?」
そう。
彼には奥さんがいた。
娘さんの楓ちゃんを産んでしばらくして病気で亡くした…
楓ちゃんが生まれてるって事は・・・当然・・そういう事もした訳で・・・
「・・・あ、うん。と、ともちゃんは・・・お、女の子だから・・・あ、あんまり・・・おれ、あーいー風には出来なかったって言うか・・・」
・・・まぁ、確かに・・・あんな激しくされたら女性なら身体が持つか分からないな・・・
彼との情事を思い出して僕は顏を赤くした。
「お、俺・・・ばにちゃんには・・・その、我慢出来なくなる・・から・・・その、ごめん・・・」
僕に我慢出来ない?
それは・・・もしかして・・・理性が働かないくらいに僕を求めてるって事??
「あ・・・いえ・・・謝らないで下さい。」
「・・・う・・うん・・・」
「虎徹さん・・・」
「・・・なに?」
「僕、嬉しいです・・・。僕の事、好きでいてくれてるって思っていいですよね?」
「あ・・・」
「・・・虎徹さん?」
「・・・ぅ、うん。・・・・・おれ、ばに・・ちゃん・・・すき・・・」
そっと見上げて僕を見る。
顏なんか真っ赤になって・・・本当に、なんて人
だ・・・
どれだけ僕を虜にすれば気が済むんだ・・・!
僕はまた虎徹さんを抱きしめた。
腕の中でおどおどしている虎徹さんに愛しさがこみ上げてくる。
胸の中が熱くなってこんなにも彼を求めてしまう。
「・・・虎徹さん・・・」
ここでキスをすれば、またあの"虎徹さん"が現れる。
それを考えるだけで僕の身体はゾクゾクしていた。
「・・・もっと貴方が欲しい・・・」
「ば、ばにぃ、ちゃん・・・?」
徐々に虎徹さんの顏に近づいて
「・・・抱いて、虎徹さん?」
虎徹さんの頬に手を掛けて
「だっ、ダメ・・・だよ・・・」
「・・・何故?」
「・・・っ・・・だって・・ばにちゃん・・・死んじゃう・・・」
「・・・・・それは何故?」
「おれ、ばにぃ・・ちゃん抱いたら・・・抑えられなくなって・・・止まらんない・・・そした、ら・・・ばにちゃん・・壊れちゃう、から・・・」
「僕は・・・壊れませんよ?」
触れるだけのキスを1つ。
「貴女に抱かれたくらいでは・・・壊れないし、死にません・・・」
またキスを1つ。
「・・・それに貴方に抱き潰されるなら本望です。」
キス。キス。キス。
「・・・虎徹さん・・キテ?」
リップ音を立てて虎徹さんの唇に何度も何度もキスをした。
・・・すると・・・
「・・・悪い子だな〜、バニー?」
虎徹さんの顏つきがガラリと変わった。
口角を上げ、僕の頭の後ろに手を差し入れて引き寄せられた。
"彼がきた"
ゾクゾクと背中に駆け抜ける感覚。
虎徹さんの唇が僕の唇に深く入ってくる。
「そんなに俺が欲しい?」
クスクスと楽しそうに笑う彼。
あぁ・・・彼に壊される・・・
とてもそれは魅力的なことのように思ってしまう僕はもう壊れているのかもしれない。
「・・・俺のバニー・・・俺だけのバニー・・・」
僕の身体に愛撫を施しながら僕の名前を何度も何度も呼ぶ。
「俺をやるのはお前だけだ・・・俺のバニー・・・」
2013.1.17