BL小説(TIGER&BUNNY編1)

□☆【虎兎】俺たち、同居する事になりました。
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「はぁ〜〜〜?!」

俺は盛大に驚いた。
今、目の前にいるのは鬼プロデューサーのアニエスと俺の相棒・バーナビー。

「その番組って芸能人の男女が結婚したって言う設定で半年暮らすという番組ですよね?」
「そうよ。」
「何故、僕たちにオファが?」

アニエスの話はこうだ。

2部とは言え、人気急上昇の俺らを番組サイドが目をつけたらしい。
アニエスからすれば、視聴率間違いナシと乗り気だ。

「え・・・でもよ〜、それって知らない女と暮らすって事だろ?俺、そういうのはちょっと出来ねぇんだけど・・・」
「文句言わないっ!元々はバーナビーだけに来た話をアポロンメディアが"彼らはコンビだから"ってあんたをねじ込んだんだから。」
「んな事言われたってなぁ・・・」

チラッとバニーを見ると腕を組んで考えていた。

「アニエスさん。その話、ちょっと無理があると思うんですけど。」
「な、なんでよ?」
「僕たちはヒーローなので家に帰る時間が不定期です。
この番組は男女が暮らしている様子を放送する必要があるんですよね?
でしたら、あまりいい画は撮れないと思いますけど?」

バニーの言い分にアニエスがクッと喉を詰まらせた。

そうだそうだ!
俺らの仕事は夜中に呼び出しがかかれば出なきゃなんない。
それに正直、バニーが他の人間と暮らすとか・・・いい気がしねぇしな。

「・・・とは言え、アニエスさんの事だから・・この話もう決定事項なんですよね?」

え?ちょっと、何言ってんのバニー??

「そうなのよ。アポロンメディアにも許可貰ってるの。」
「ちょっとちょっと、俺らの気持ち無視な訳?」
「何言ってるの?今、あんた達に許可を得ようとしてるでしょ?」
「いや・・・許可っつーより、強制?」
「失礼ね!」
「と言う事で、今回は男女ではなく僕らが一緒に住むというのはどうですか?」

・・・はぁ?
何言ってんのバニーちゃん?

「そうすればファンは納得すると思うんですよね。」

バニーはここぞとばかりに営業スマイルをした。
バニーの周りにキラキラしたモンが見える・・・。

「〜〜〜〜っっ、それ頂きよ、バーナビーッッ!!」




「だ〜か〜ら、なんであんな事言ったんだよ?」
「何がです?」

バニーは俺の部屋のソファで俺の肩にコテンと頭を乗せた。

「アニエスの話だよ。」
「あぁ〜・・・」

小さく笑ってバニーは頭を起こして、俺の顏を覗きこんだ。

「・・・嫌でしたか?」

・・・その顔は卑怯だろ、バニー・・・

俺はその綺麗に微笑むバニーの唇にキスをした。

「・・・部屋にカメラ仕掛けられたら、こんな事出来ねぇぞ?」
「貴女が他の女性と暮らすよりマシです。」

バニーがキスを返してくる。
それに応えるようにバニーを抱きしめた。

「・・・それとも貴方は僕が他の女性と擬似とはいえ、結婚して一緒に住む方が良かったですか?」
「・・・・・それはキツいな。」
「・・・良かった。・・・僕だけじゃなかった・・・」

俺の胸に顏を埋めてスリスリしてる。

・・・やっぱ、可愛いなぁ〜・・・バニー・・・

俺の胸にあるバニーの髪を梳きながら遊ぶ。

「でも半年も我慢出来っかな〜?俺、自信ないわ・・・」
「それは我慢して下さいよ?」
「・・・だから自信ねぇって。」

くるくるした髪を梳いている手をそのまま項へと伸ばした。
漏れるバニーの吐息。
もうそれだけでズキンと腰にクる。
バニーは俺の腕の中からするりと抜けると立ち上がった。

「・・・ばにぃ〜?」
「我慢して下さい?」

と、振り向き様に微笑みながらキッチンへ消えてった。



半年間バニーと一緒に住む。
これがプライベートならどんだけ良かったか。

いや・・・一緒に住むって選択が今まで考えなかった訳じゃねぇ。
考えが古いってまたバニーに言われるかもしんねぇけど、
やっぱ生活を共にする時はちゃんと結婚してからって俺は思ってる。
バニーに対してそういう気持ちがない訳でもねぇ・・・寧ろしたい。
ただ、まだ色々俺の中でクリアしてかなきゃなんねぇ事があってその一歩を踏み出せずにいる。

俺がグチグチ考えているのをよそにアニエスは俺らがこれから住む場所を探し半年契約した。
いつも思うがそうと決まった時のアニエスはほんと行動が早い。
しかも俺らの放送は生活した半年後にスペシャルとして組むという。
場所はゴールドの少し住宅地から離れた一軒家。
放送まで極秘だという事もあってあまり人に知られちゃいけないらしい。
中に入るとすぐにでも生活が出来る状態で
リビングにはゆったりしたソファ・テーブル・テレビとあった。
キッチンも一通りの調理道具が並んでいる。
バスルーム・トイレ、どこを見てもなにもかも揃っていて正直俺はヒビった。
そして・・・

「・・・やっぱ寝室は別だよな〜。」
「当たり前でしょ?男2人が住むのに寝室1つにはしませんよ、放送的に。」
「だよな〜・・・」

せっかくバニーと一緒に住むってのに寝室が別ってどんな拷問だよ、ったく・・・

「これから半年、この家にいる時は"虎徹さん"ではなく"タイガーさん"と呼ばないといけないですね。」
「あ、そだな。・・・ってか、家に帰ってまでお前にタイガーって呼ばれるのちょっとヤダな〜・・・」
「・・・そうですね。いつまでも仕事モードな感じがして嫌ですけど、仕方がないですね。」
「タイガー!バーナビー!明日から収録だから宜しくね!」

アニエスが部屋にカメラを設置を指示してから俺らのいるリビングに入って来た。

「あぁ〜・・・。」

俺はやる気なく答える。

「ちょっとほんとに頼んだわよ?とりあえず明日朝一にアポロンメディアに迎えに行くから。」
「はぁ?!」

俺のリアクションを見てアニエスが深いため息をついた。
続けて・・・

「あんた、企画書ちゃんと読みなさいよ!」

キッと俺を睨んでからバニーには小さく笑って(と言うか悪だくみしているような顏?)から踵を返して帰って行った。

「なんだよ、あいつ〜・・・」

ソファに腰かけていた俺はそのままズルズルと身体を沈めた。

「あれは虎徹さんが悪いですよ?企画書にも書いてありましたからね。」
「んなの読めっかよ〜。俺あーいーの嫌いだモン。」
「モンって・・・おじさんがモンとか言わないで下さい。」
「だぁってよ〜〜」

ソファの背もたれから俺の顏を覗きこんで笑うバニー。
俺はバニーの首に腕を伸ばして自分の方に引き寄せ、逆さまになっている唇にキスをした。

「・・・っ。ダメですって虎徹さん。もうカメラあるんですよ?」
「撮影開始は明日からなんだろ?」
「それは・・そうですけど・・・」
「んじゃあ・・・ちょっとくらい・・・」

と、再びバニーに唇を重ねた。
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