BL小説(TIGER&BUNNY編1)

□【虎兎】地味兎ってこんな感じですか?
1ページ/1ページ

颯爽と俺をお姫様抱っこをして登場した男。
マスクを外してTVにアピールする。

のちに俺、鏑木・T・虎徹の相棒となったバーナビー・ブルックスJr。

顏を合わせれば"うるさいです"だの"僕の事は放っておいて下さい"だのと可愛気の欠片もねぇ。
それでも俺はバニーの事を放っておけなかった。
信じるのは自分だけ、誰も構うなというオーラを放って・・・俺からすりゃ、そういうヤツに限って危なっかしいんだ。
自分だけしか信じないと言う事はそいつの考え1つだけしか存在しないという事。
それはあまりに悲しすぎるし、もっと広い世界を知って欲しい。
頑なまでに閉ざすあいつの心を俺は少しでも溶かしたかった。
だから、俺はさっき仕事が終わって別れたばかりの相棒の家へ突撃する事にした。

バニーの家はゴールドステージにある高級マンション。
前に市長の息子を預かった時に一度行った事があるから場所は分かっている。
セレブだけにセキュリティも万全でバニーに声をかけなきゃ中には入れない。
エントランスにあるインターホンを押した。

『はい?』

5回目くらいにバニーが音声だけで応答した。

「あ〜俺。バニーちゃん、開けて?」
『…っ?!こ、おじ…さん?』

バニーが弱々しい声で問いかける。

「おぅ!ちょっと近くまで来たもんだからさ〜、寄ってみた!」

もちろん嘘だ。
お前ん宅に襲撃かけたんだ。

「せっかく来たんだし、開けてよ?」

なるべく自然に言ったけど、バニーからは何も返事がない。

「バニー?聞いてるか?…ん、切れてんじゃねぇだろうなぁ〜…」

インターホンに向かい、バシバシ叩いた。

『…聞こえてますよ。』
「あ、バニー!なぁ〜開けてくれよ〜。手ぶらで来んのもなんだからさ〜酒買ってきたんだぜ〜?」
『……少し待って下さい。』

ぽつりと言って通話を切った。

思ったより、怒ってなかったなぁ。
俺はてっきり
"貴方は何度言えば分かるんですか!僕のプライベートに首を突っ込まないで下さいっ!!"
とか言われんじゃねーかって思ってたわ…

バニーが解除してくれるまで俺はそんな事を考えていた。


『…どうぞ。上がって下さい。』

15分後、ようやくバニーから言われて俺はマンションの中に入った。

つーか、すんごい待たされたんだけど?
何してたんだ、あいつ?
……あ、風呂か?
だったらわりぃ事したなぁ…
顔見たら謝っとかなきゃな…

エレベーターでバニーの部屋の階まで行き、部屋の前に来て改めてインターホンを押した。
玄関のロック解除の音が聞こえて俺は部屋の中に入った。

一回しか来てないけど、相変わらず殺風景な部屋だなぁ・・・

バニーに促されてリビングのリクライニングに腰を落とした。
風呂上がりだったようでバニーは髪が濡れてカールが少し緩い。

「わりぃなバニー。もう寝るとこだったか?」
「・・・えぇ・・まぁ・・・」

バニーは俯いたまま動かない。

どうしたんだ?
やっぱ、急に来たから怒っちまったかな??

俺は顏の見えないバニーを見つめた。

「・・・く・・・のに・・・」
「へ?」

バニーが何か言った。
・・・斉藤さんみたいに声が小さくて何言ってるのか分かんねぇ。

「なんてったのバニー?」
「・・・れた・・・かっ・・・に・・・」

・・・やっぱ聞こえねぇ・・・

俺は突っ立ったままのバニーに近付いた。
するとバニーは顏を上げて俺を見た。
いつものスタイリッシュ(?)な眼鏡ではなく、黒縁のでっかい眼鏡をかけたバニー。

え?お前、そんな眼鏡してたっけか??

「・・・こんな姿・・・見られたく、な、なかった・・・のに・・・」

顏を真っ赤にしたバニーが一生懸命に声を出して言った。

・・・なんだこれ?なんだこれ?なんだこれ??
この子、ほんとにバニーなの??
いっつもなっまいきで上から物を言うバニーはどこいった??

俺はビックリして声を出せない。

こんな・・・こんな可愛い生き物知らねぇっっ!!
こんな可愛いバニー知らねぇ!!

バニーは目を伏せて顏を背けている。
髪の隙間から見えるバニーの耳まで真っ赤になっている。

「あ・・・バニー・・・だよな?」
「・・・っ?!」
「・・・だよな?」
「あ、はい。」
「お前・・・なんなの?いつもと違うじゃん!」
「あ、あの・・・そ、それは・・・」

バニーさん?
せっかくバスロープ着てるのにそんな袖をグッて引っ張ったら意味ないと思うんですけど?

バスロープの袖を引っ張りモジモジしている。

もうっ、この子っ、可愛すぎっ!!
・・・って、おっと・・・こんな事してる場合じゃねぇ・・・

「・・・とりあえず話して貰おうか、バニーちゃん?」




「つまり、何か?お前は元々がそういう・・・じみ・・大人しい性格だけど、
ヒーローをするにあたってその性格を隠す事にしたって事か?」
「そ、そう、です・・・。僕はあんな、は、派手な事・・本当は、き、嫌いなんです。・・・でも、マ、マーベリックさんに言われて・・仕方なく・・・」

あぁ・・・社長は知ってんだ・・・
・・・なんかイラつく・・・

「にしても、なんで俺にあんな冷たくしてた訳?冷たくする必要なくねぇか?」
「あ、そ、それは・・・その・・・貴方、だから・・・」
「・・・へ?」
「・・・ぼくはマーベリックさんに言われてから、ヒーローの事を・・色々、し、調べたんです・・・。
それで不思議な事にぼくと同じ能力を持ったヒーローがいる事を知って・・・ず、ずっと見てました・・・貴方の事・・・。」

バニーは話しながらチラッと俺を見た。

ドキドキドキドキ・・・

「あ、そ・・・そぅ・・・」

もう俺ヤバいかもしんない・・・
なんかすげぇドキドキする。
バニーの部屋に来るまで頑なに閉ざされたこいつの心の扉をぶっ壊してやろうって思ってたのに・・・
なのに・・・・・・それどころか、俺の心を持って行きやがった!!
いや、こいつは男だけども・・・そんな事関係ねぇくらい俺はこいつにヤラれた・・・

「・・・本当は、すごく、仲良くしたいって・・・思ってたんですけど・・・その、ぼくのキャラが壊れるので・・・あんな態度を・・・・・・ごめんな・・さい・・・」

あーーー!!
もうなにこの子?
俺をどうしたいの??
・・・くそっ・・・

俺はバニーを抱きしめた。
バニーの身体がビクッてなった。

可愛過ぎんだろ・・・
ほんとお前可愛過ぎ・・・

バニーの身体をぎゅっと強く抱きしめる。
少し濡れた髪が鼻をくすぐる。
その濡れた髪にキスを落としてやる。
鼻から抜けるバニーの声が聞こえた。
その吐息が俺の頭の中を電流が駆け抜けた。
バニーの吐息が聞きたくて何度も何度も髪やうなじにキスを落とした。

「・・・あっ、な、何をっ、」
「・・・お前・・・俺の事、好きだろ?」
「なっ?!」

俺の腕の中でもがくバニー。
そう簡単には解かせないけど。

「・・・俺、今のバニー、好き・・・」

バニーの耳元で囁いてやる。

「だから、もう俺の前では壊れていいよ?」

囁いてから俺はバニーの真っ赤になった耳を軽く噛んで舐めた・・・
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ