BL小説(TIGER&BUNNY編1)

□【虎兎】貴方の声
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「バニー」

低く少しだけ色のある声で僕の名を呼ぶ。

「バニー?」

心配そうな声で僕を呼ぶ。

「・・・バーナビー」

ちゃんと僕の名を呼ぶ時はだいたい身体を重ねている時だ。

貴方は分かってるのかな?
貴方の声は僕の中に染み込んでいくって。

「どうしたバニー?」

首筋を這っていた虎徹さんの唇が離れた。

「・・・いえ・・・」
「なに考えてた?」

虎徹さんは少し拗ねたような顔をして僕の顔を見下ろす。

・・・貴方の事を考えていたのに・・・拗ねるだなんて・・・

なんだかおかしくて笑みが零れる。
虎徹さんの唇に指を這わせて

「・・・僕の好きなものを考えてました・・・」
「ん〜?」

考えるような顔をした虎徹さんは何を思いついたのか・・・

「・・・それ、俺の事じゃなかったら・・・泣くからな?」
「・・・じゃあ、泣いて下さい?」
「お前が啼けよ・・・」

微笑みながら言うと虎徹さんも笑って僕の身体に触れた。


貴方の声は僕に生きてると言う事を教えてくれる。
僕はここにいると。
僕はここで生きていいんだと。
貴方だけにしか呼ばれない名前。


「ねぇ、虎徹さん。」
「ん?」
「どうして貴方だけなんでしょう?」
「何が?」
「僕の事を"バニー"って呼ぶのは・・・」
「あ〜・・・それな〜・・・」

そう言いながらもぞもぞと僕に抱きついてきた。

「俺以外に呼ばれたい?」
「・・・いえ。貴方以外に呼ばれるのは少し嫌かな?」
「俺も俺以外がお前の事"バニー"って呼ぶのは嫌だな〜」
「ふふ・・・そうだったんです?」
「そ〜だよ〜?悪い?」
「いいえ。嬉しいです。」

虎徹さんの背中に腕を回す。

それってヤキモチだって気付いてます?

「バニー。」

貴方の声で呼ぶ僕の名前。
特別な僕の名前。
貴方にだけ呼ばれたい。
他の誰も呼ばないで。




2013.2.16
 

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