コラボ作品

□【虎兎+銀新】こんなことってアリ?ナシ?
1ページ/11ページ

「斉藤さん・・・なんなんすか?俺ら今日休みだったんすよ??」

鏑木・T・虎徹は機嫌の悪い顏で目の前にいる斉藤に文句を言っていた。

今日は久しぶりに2人揃っての休みだった。
前の日の晩から一緒にいて甘い夜を過ごした。
その後、抱き合って眠りにつき、朝になってけたたましくPDAか鳴り響いた。
低血圧のバーナビーは唸っているだけで起きない為、虎徹が出た。
やたらとデカイ斉藤の声が聞こえ、研究所に来てくれっ!とそれだけ言われて来たのだ。
不機嫌極まりない。

『・・・は・・・くて・・・のだ・・・』
「・・・はぃ〜?」

斉藤はいつものように小さすぎる声で何かを言っているのか虎徹もバーナビーも聞こえない。
虎徹はしゃがみ込んで耳を傾ける。
斉藤はため息をつくと、どこから出してきたのかスピーカー搭載のヘルメットを被り、

「実はっ、ちょっと試して貰いたくてっ、君たちを呼んだのだっ!」
「っだっ?!いきなりスピーカー出さないで下さいよっ!」

耳元でスピーカー越しの斉藤の大きい声に虎徹は耳を塞ぎ、斉藤から離れた。
バーナビーは斉藤がスピーカーを出した時に素早く斉藤との距離を取っていた。

「で? 頼み事とはなんですか?」
「とりあえず、このカプセルに2人とも入ってくれ!」

斉藤に促されて、奥の部屋に入ると成人男性1人が入るくらいの大きなカプセルが2つ置いてあった。

「・・・これは、あの時のカプセルに似てますね・・・」

バーナビーはカプセルをそっと撫でながら呟く。
マーベリックからゆっくり休みなさいと言われて入ったカプセル。
あの時はバディの虎徹にさえ連絡が出来る状態ではなかった。
精神的に壊れかけていた・・・
眠れば必ず見てしまうあの夢。
ジェイクが死んで復讐を果たしたと思っていた矢先にクリームから
ジェイク様が殺したんじゃない。と言われてからのバーナビーの夢・・・
犯人の顔がジェイクからマーベリック、サマンサ、虎徹、挙句の果てには自分の顏までになってしまう恐ろしい夢。

「・・・・」

虎徹は今にも泣きそうな顏のバーナビーを黙って見ている。

「リラックス出来るし、ちょっとした"仕掛け"もある。早く入れ!」

斉藤は痺れを切らした様で2人にせっついた。
小さなため息をついてから虎徹はバーナビーの背中をポンと叩き、
入るか?とアイコンタクトをした。
虎徹の顏を見て、ふわりと笑って頷く。
それぞれカプセルに入るとカプセルは自動的に閉まった。
中で横になり目を閉じる。
かすかにラベンダーの香りがした。
リラックスを促す香り。

『タイガー!バーナビー!』

相変わらず機械越しではデカイ声の斉藤が話し掛ける。

「だっ!聞こえてますよっ!斉藤さんっ!」
『今、行きたい時代と言えばいつだ?』
「・・・は?」
『答えろ、タイガー!』

・・・急にそんな事言われてもなぁ〜・・・

頭をポリポリ掻いているとバーナビーの声が聞こえてきた。

『虎徹さん、前に折紙先輩と"バクマツ"だとか"エド"だとか言ってませんでしたか?』

・・・そういやぁ、んな話したなぁ・・・

折紙ことイワン・カレリンは大の日本好き。
いや・・・オタクと言っても過言ではない。
日系である虎徹に日本の話を聞こうと最近やたらと虎徹に話し掛けてくる。
そんなイワンと話している時、"新撰組"の話になってあの時代に一回行きたいなぁと漏らした事があった。

「よく覚えてんなぁ〜バニーちゃん!」
「いえ、僕も少し興味がありましたから・・・」

バーナビーの少し照れた顔が目に浮かぶ。
クスッと笑って、虎徹は斉藤に話し掛けた。

「幕末時代に行きたいっす。」
『・・・・・分かった・・・・・キヒッ・・』

プツン・・・

斉藤のマイクが切れた。

なんなんだよ?
何が分かったの、斉藤さん??

すると何かの機械音が聞こえたと思ったら急に眠気が襲ってきて、虎徹はすっと吸い込まれるように意識を手放した。


次に虎徹が目を覚ました時に見えたのは見知らぬ天井だった。
ゆっくりと身体を起こして、辺りを見回した。
どこか懐かしい感じがするのはオリエンタルにある自分の実家の和室にもある畳の匂いがするからだろうか・・・
自分もバーナビーも布団に寝かされていたらしい。
バーナビーの寝顔を見て、クスリと笑う。

・・・可愛い顏で寝てんなぁ〜・・・

虎徹はバーナビーの頭をくしゃりと撫でてから頬を軽く叩いた。

「おい、起きろバニー!」
「・・・んん・・・・・こ・・・てつ・・・さん・・・?」

なかなか覚醒しないバーナビーの額に軽くキスをする。

「ほら、起きろよバニー。こんなどっかも分かんねぇとこでヤリたくねぇだろ?」
「・・・どっか・・・分からない・・・とこ・・・?」

虎徹の言葉を繰り返し、脳に送り込む。
すると、状況を把握出来たのか目を見開き勢いよく起き上がった。

「こっ、虎徹さんっ!」
「おはよー、バニー。」
「あ、おはよーございます・・・・・って、そうじゃなくてっ、どういう事ですか?」
「んな事、俺にも分かんねぇよ・・・」

バーナビーは改めて辺りを見回す。

「・・・見た事もない所・・ですね・・・」

そう言いながらバーナビーはある人物の部屋を思い出していた。
以前行った事のある和室。
日本大好きなイワンの部屋である。

「やあっとお目覚めですか、コノヤロー。」

いきなり声を掛けられ、2人は振り向いた。
そこには部屋の入り口の襖に寄りかかっている銀髪の男。
銀髪で癖毛、死んだ魚のような目をしている。

「この辺りじゃ見かけねぇ顔だなぁ〜。アンタらどっから来たんだい?」
「どっからって・・・シュテルンビルトだけど・・・」
「はぁ? しゅて・・何?どこのラブホ?」
「・・・いや、ラブホじゃねぇよ・・・」

ふ〜〜んとやる気のない返事をし、鼻までほじる銀髪の男。

「え〜・・・と・・・ここってどこ?」
「は?俺ん宅。」
「いや・・・そうじゃなくて・・・」
「あ〜・・・そっか・・よそモンか・・・。ここは歌舞伎町だ。」

・・・・・・・・・・・・

「「か、歌舞伎町?!」」
「なんだなんだ?やたら綺麗にハモりやがって!ユニゾンですか??気分はEXI●E気取りですか、コノヤロー!!」

銀髪の男の突っ込みも耳に入らず、2人はお互いに見合わせている。
すると

「銀さ〜〜ん!寝ている方々の具合はどうですか?」

と銀髪の男の後ろからひょっこりと顏を出す青年。

「新八。」
「あ、起きてらしたんですね? ひどいなぁ銀さんたら・・・起きたんなら教えてくれればいいのに〜・・・」

新八と呼ばれた眼鏡の青年は虎徹とバーナビーに笑顔を向けて

「あ、すんません。うちのマダオが失礼な事しませんでしたか?つーか、絶対しましたよね?
僕は志村新八と言います。で、このマダオが坂田銀時、通称銀さんです。」

新八は銀時の頭を無理に下げさせ、自分も頭を下げて挨拶をした。
教育が行き届いてんなぁ〜、と関心しながら虎徹は自分も頭を下げながら

「そいつはどうもご丁寧に。俺は鏑木・T・虎徹だ。で、この金髪美人が俺の相棒でバーナビー・ブルックス・Jr。」

虎徹が頭を下げて挨拶をしているのを見たバーナビーは虎徹と同じように頭を下げた。

「ぶるっく・・・?ちょっ・・・何、外人??新ちゃん?!外人さんだよ?俺英語とか全く喋れねぇよ?どうすんの?これどうすんの??」
「銀さん、落ち着いて下さいよ!つーか、僕だって分かりませんよっ!」

いきなりコントのようなやり取りが始まり、虎徹とバーナビーは口を開けたまま放心している。
そして、バーナビーが恐る恐る口を開いた。

「・・・これって・・・あれですかね?・・・斉藤さんが言ってた"仕掛け"・・・」
「あ〜・・・やっぱバニーもそう思った? つーか、バニーちゃん 案外冷静なのね?」
「いえ・・・そうでもないですよ?・・・頭の中はパニックを起こして数人の小さい僕がジタバタしてます。
でも、まぁ・・・こんな所で錯乱するのもみっともないですし・・・」

ものすごいポーカーフェイスなバーナビーだが目だけあっちこっちと泳いでいる。

・・・小さいバニーって・・・・・目が泳いじゃってるし・・・パニくってるわ〜・・・

虎徹はバーナビーの背中をポンポンと宥めるように叩き、

「・・・ま、斉藤さんの"仕掛け"にしても・・・ここって俺が学校で習った幕末時代とはちょっと違うんだよなぁ〜・・・」

今いる和室の向こう側には応接間らしき部屋があり、幕末時代にはなかっただろう代物、テレビや電話が置いていた。

「そうなんですか?」
「あぁ。あんな機械モンなんかねぇよ。」

そんな話をしている虎徹とバーナビーを新八は気づき、銀時の喋りを制して

「あ、すんません。なんかお2人ほったらかしにしてしまって・・・とりあえず、こちらへどうぞ。」

部屋の入り口を塞いでいる銀時を押しのけ、新八は虎徹とバーナビーを応接間へと促す。
軽く会釈をし、虎徹はバーナビーの手をとって応接間へ入っていった。
その様子を面白くないと拗ねている銀時。

「ほら、銀さんも来て下さいよ。イチゴオーレ無くなりますよ?」
「ちょっ・・・新八っ!!それはダメだからっ!それは銀さんだけの物だからあああああああ!!!」

慌てて応接間を抜けて台所にいる新八の方へ叫びながら走っていった。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ